紀元2600年のテレビドラマ―ブラウン管が映した時代の交差点

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紀元2600年のテレビドラマ―ブラウン管が映した時代の交差点

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  • サイズ B6判/ページ数 266p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062201537
  • NDC分類 778.8
  • Cコード C0095

出版社内容情報

76年前の幻の東京五輪を経て、実用化寸前だった戦前のテレビ放送に賭けた男たち。初のドラマ番組に父が出演した岩下志麻さん推薦!日本初のテレビドラマは、いつNHKで放送されたか? それが、零戦が初飛行し、中国での戦線が膠着状態にはいり、紀元2600年で沸きかえる昭和15(1940)年と知れば驚く方も多いだろう。大正14(1925)年にラジオ放送は開始されたが、それからわずか15年で、戦前のテレビ技術は、本放送実現の一歩手前まで究まっていたのだ。
それは、幻に終わった東京オリンピック、万国博覧会に向けた国家プロジェクトとして莫大な予算が投じられたためであり、2大イベントが中止となった後も、紀元2600年を控えて国威発揚のために、また軍事技術への転用のためにも、欧米に負けられない開発目標だった。実際、5年前の平成21年に終わったアナログ放送での走査線が525本であったのに対し、戦前では441本にまで技術は進歩していた。
実験放送は、真珠湾攻撃の当日、昭和16年12月8日午前にも予定されていたが、開戦とともに放送用の開発は終わり、戦時中は、飛行機に搭載する超小型テレビや電波探信機の研究に切り替わった。
昭和15年4月に無線で放送されたテレビドラマ『夕餉前』は、原泉子、岩下志麻の父・野々村潔、寺尾聡の母・関志保子が出演、照明1万ルクス、灼熱のスタジオで髪が燃えたというエピソードが残った。10月の第2作『謡と代用品』には、天才子役だった中村メイコがカメラの前に立った。また、世界初の技術でブラウン管に映像を映した高柳健次郎の奮闘など、戦前のテレビ開発に賭けた人びとの夢を追うノンフィクション。

プロローグ 時代の謎を解くキーワード
第1章 高柳健次郎の果てしない挑戦
第2章 幻の東京五輪とテレビ実用化計画
第3章 昭和14年にはじまるテレビ快進撃
第4章 紀元2600年が呼び込んだ若手ディレクター
第5章 初のテレビドラマ『夕餉前』と伊馬鵜平
第6章 ドラマ出演事始め
第7章 暗転する時代と『謡と代用品』
第8章 「その日」までテレビは続いた
エピローグ 昭和28年2月1日午後2時00分


森田 創[モリタ ソウ]
著・文・その他

目次

第1章 高柳健次郎の果てしない挑戦
第2章 幻の東京五輪とテレビ実用化計画
第3章 昭和14年にはじまるテレビ快進撃
第4章 紀元2600年が呼び込んだ若手ディレクター
第5章 初のテレビドラマ『夕餉前』と伊馬鵜平
第6章 ドラマ出演事始め
第7章 暗転する時代と『謡と代用品』
第8章 「その日」までテレビは続いた

著者等紹介

森田創[モリタソウ]
1974(昭和49)年神奈川県出身。99年東京大学教養学部人文地理学科卒業。同年電鉄会社に入社。現在、広報部勤務。2014年初の著書『洲崎球場のポール際 プロ野球の「聖地」に輝いた一瞬の光』(講談社)により、第25回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

27
節目。戦意高揚という政府の思惑通りに事は進むも、技術者そして国民には夢となる。迎えた昭和15年の『夕餉前』。巻末台本のシンプルさとは対照的な”肉受け渡し場面”。効果音の秘密兵器は・・・、時代とは言え確かに笑う。(笑)一方、真珠湾が”終焉”とは皮肉。故に戦後復興時の高柳氏の涙。喜び、悲しみ、そして愛しさ。様々な想いが伝わる。作品を通した伊馬氏や関係者と検閲官との化かし合いがささやかな主義主張。それにしても、時代とはいえ「思想宣伝選展覧会」とは嫌な名称。2016/12/11

fwhd8325

24
著者は、前作で州崎球場を取り上げた方です。今回も、昭和です。そして、夢の玉手箱と信じていた時期があったテレビジョンです。昭和を語るとき、どうしても戦争を避けて通るわけにはいかない。そして、もし戦争がなかったらという前提に考えてしまうことは仕方ない。戦争が始まる少し前、日本で初めてのテレビドラマが放送るからされた。このこともびっくりなのだが、ここに関わっていた方々の名前を拝見すると、その後のテレビ界との因縁めいたものを感じられるから歴史は面白い。最後に黒柳徹子の名前を登場させる。巧いノンフィクションです。2016/08/02

keroppi

11
紀元2600年つまり昭和15年、初めてのテレビドラマが放送された。(それだけで驚きなのだが)東京オリンピックや万国博覧会も予定され、活気に溢れる時代。テレビも実用化に向かう。戦争がその全てを潰していく。戦後のテレビに関わる人物関係も描きつつ、情熱に溢れた人々と時代を活写し、読み応えのあるノンフィクションだった。2016/08/24

やまけん

10
物凄く自分の嗜好に突き刺さる本だった。 内容はある学者がテレビを開発してから日本初、2番目のテレビドラマの試験放送までを、戦前から太平洋戦争開戦までの日本の情勢とリンクさせたノンフィクションもの。 学者のテレビ開発への熱意や、実用化に向けた開発チームとその両輪の関係にあったドラマ製作チームの熱気、戦争の足音が忍び寄る当時の日本の情勢への不安が読んでる内にごちゃ混ぜになって色んな種類の面白さが感じられました。2024/10/16

Tomotaka Nakamura

0
戦前日本のテレビ開発、試験放送に取り組んだ人々のお話。最後は戦争によって中止の憂き目にあってしまう。。。高校の先輩坂本朝一さんが出てきて親近感がわく。筆者の感情表現はちょっと芝居掛かっていてそこだけ少し引っかかりました^^;2018/02/07

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