ぼくは科学の力で世界を変えることに決めた

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062198004
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0098

出版社内容情報

弱冠15歳にして「膵臓がんを早期・安価に発見する方法」を考案したとして、世界的に有名となった少年の半生を綴った自伝です。治療が難しいガンの早期発見法を開発した15歳
いじめ、うつ症状、恩人の死……多くの困難を乗り越え、前に進み続ける科学少年の物語

(本文より)
高校1年の中間地点を過ぎてすぐのある日、ぼくは「単層カーボンナノチューブ」と呼ばれる物質に関する論文を生物の授業にこっそり持ち込んでいた。単層カーボンナノチューブというのは炭素でできた微細な細長い管のことで、その厚みは原子1個分、直径は人間の髪の毛の5万分の1だ。その非常に小さなサイズにもかかわらず、カーボンナノチューブには驚くべき特性がある。言わばそれは、材料科学におけるスーパーヒーローなのだ。
 生物の先生は、ぼくの注意力散漫を目ざとく感じる不思議な第六感を持っていた。目が頭の後ろにあるだけじゃなくて頭の横にもあるらしかった。
 ぼくが論文を机の下に隠して読んでいたときの授業のテーマは、抗体と呼ばれる興味深い分子のことだった。抗体はとても有益な分子で、特定のタンパク質にだけ反応し、免疫系によってウィルスや細菌を撃退するのに使われる。
 ぼくが突然ひらめいたのは、その授業の最中だった。実際に読んでいるもの(カーボンナノチューブ)と、授業で学んでいるはずのこと(抗体)を組み合わせたらどうなる!?
 ナノチューブと抗体を混ぜ合わせれば(スパゲティにミートボールを混ぜるみたいな感じ)、一種類のタンパク質――この場合はメソテリン――にしか反応しないネットワークが手にできる。メンテリンが抗体に反応すると、免疫複合体と呼ばれる大きな分子が形成される。この巨大な分子が形成されると、隣接するナノチューブが孤立分散されるので、ネットワークが拡大する。ちょうど、束ねられたワイヤをほぐして、一本一本分散させるようなものだ。これが生じると、隣接するナノチューブ同士の結びつきが減るので、電子の経路も少なくなり、電気抵抗が増す! こうしてナノチューブの電気特性が変化するわけだが、その変化なら、ぼくにも測定できる!
 僕の頭の中で、すべてのパズルのピースがはまっていって・・・・・・そして・・・・・・粉砕されたのだった! ブレイクスルーの最中に、生物の先生がぼくの机めがけて突進してきたのである。その顔は怒りにゆがんでいた。ああ、またしても。(本文より抜粋)

はじめに 家族会議
1 アンドレイカ家に生まれて
2 サイエンスフェアと「いじめ」
3 カミングアウトと大事な人の死
4 宿敵の膵臓がん
5 患者のことを忘れないで
6 193番目の奇跡
7 キャンサー・ペーパー・ボーイ
8 うわっ! モーリー・セイファーを殺しちゃった
9 ブレイクスルー
付録 ジャックの学校 実験+ヒント+情報


ジャック・アンドレイカ[ジャック アンドレイカ]
著・文・その他

マシュー・リシアック[マシュー リシアック]
著・文・その他

中里 京子[ナカザト キョウコ]
翻訳

内容説明

治療が難しいガンの早期発見法を開発した15歳。いじめ、うつ症状、恩人の死…多くの困難を乗り越え、前に進み続ける“科学オタク”少年の物語。

目次

はじめに 家族会議
1 アンドレイカ家に生まれて
2 サイエンスフェアと「いじめ」
3 カミングアウトと大事な人の死
4 宿敵の膵臓がん
5 患者のことを忘れないで
6 193番目の奇跡
7 キャンサー・ペーパー・ボーイ
8 うわっ!モーリー・セイファーを殺しちゃった!
9 ブレイクスルー
ジャックの学校―実験+ヒント+情報

著者等紹介

アンドレイカ,ジャック[アンドレイカ,ジャック] [Andraka,Jack]
1997年、アメリカ・メリーランド州生まれ。2012年、高校生のときに膵臓・卵巣・肺がんを早期発見するための安価な検査法を開発し、インテル国際学生科学技術フェア(ISEF)のゴードン・ムーア賞を受賞。その後もスミソニアン協会アメリカン・インジェニュイティー賞のユース・アチーブメント部門受賞(2012年)、シーメンス財団ウィー・キャン・チェンジ・ザ・ワールド・チャレンジ最優秀賞(2014年)、ジェファーソン賞(同)などを相次いで受賞する

リシアック,マシュー[リシアック,マシュー] [Lysiak,Matthew]
ジャーナリスト。ニューヨーク・デイリーニューズ紙の元記者。トゥデイ、MSNBC、FOXニュース、CNNをはじめ、数多くの全国・地方メディアに出演している

中里京子[ナカザトキョウコ]
翻訳家。早稲田大学教育学部社会科卒業。20年以上実務翻訳に携わった後、出版翻訳の世界に。不妊・生殖補助医療に関する国際学会の事務局も担当している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kawai Hideki

43
非常に良かった。大好きな叔父を膵臓癌で亡くした15歳の高校生が、画期的な膵臓癌診断キットを発明するお話。膵臓癌の知識ゼロからスタートし、論文を手掛かりに早期発見のためのマーカーとして8000種類のタンパク質を50種類まで絞り込み、実験できる研究室を探して200人もの研究者に打診し、毎日深夜まで実験を繰り返す。学校ではいじめられ、大半の研究者から門前払いされても、孤独の中で見事にやり遂げた。提案方式は、膵臓癌だけでなく他の多くの癌の早期発見にも応用可能。子育ての本としても、イノベーションの本としても秀逸。2016/01/12

くさてる

16
15歳で難治癌の早期発見法を開発した天才少年の自伝。と思って読むとちょっと違うと思います。確かにかれはそういう少年であるのですが、それ以上に、他人との違いに苦しみ、いじめにあい、自分のセクシュアリティに悩み続けた少年で、正直云って、読んでいる間ずっとその幼さとまっすぐさが痛々しいほどでした。天才ではあるけれど、普通の少年でもあるということ。特異ではあるけれど、こどもであるということ。本当にこれからの人生に幸多かれと願います。2016/01/13

ルート

13
科学が大好きなジャック・アンドレイカ。自宅の地下実験室を遊び場にし、ワクワクする実験を繰り返していた。家を爆破してしまう前に、ジャックが科学の力を人助けに向けたのは、アンドライカ家にとっての、いや世界にとっての幸運だった。なぜなら彼は、膵臓がんを早期発見する、コスト2万6000分の1、感度400%の方法を見つけてしまったのだから。もちろん、輝かしい成功の裏には、辛い体験もあった。家族の支えと、大切な人への思いを礎に、自分ができることを信じ続けたジャックの挑戦の物語は、遠い国の、身近な出来事かもしれない。2019/11/22

読書実践家

8
論理の積み重ねからブレイクスルー。数学の探求から、科学の進歩に貢献し、人類を救う。15歳の少年のガンの早期発見法を見つけたお話。オバマ大統領とこの少年が会っている写真は不思議な光景だった。2016/03/24

MAKII FRUー

8
科学の事をわかりやすく読むことができたし、この少年は素晴らしい成功だけじゃなく、この年で、ものすごい挫折をしているという点でも大人として、少年の心やゲイの人が気づくまでの感情を少し知ったような気がした。現実の事であることが、驚きの連続だった。2016/02/18

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