増税よりも先に「国と政府」をスリムにすれば?―英「エコノミスト」編集長の直言

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  • サイズ B6判/ページ数 290p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062193498
  • NDC分類 311
  • Cコード C0098

出版社内容情報

「日本よ、国民への増税より先にやることがあるだろう」。英「エコノミスト」編集長が提言する国家・政府再生のための政策とは。はっきり言いますね。あまり売れないかもしれませんけど、今の日本にはこんな本が必要だと思うから出してみます。

消費税10パーセント増税ですって? 8パーセントに引き上げたばかりなのにもう? その前に国や政府や地方自治体には「やるべきこと」があるんじゃないですか?

誰もが知ってるとおり、日本はこれから人口が激減していきます。
2050年には1億人を切り、2100年には5000万人を割るという試算もあります。
日本が目指すべきは、「経済大国」の維持ではなくて、「住みやすい日本」の維持ではないんでしょうか? 
そのために必要なのは、生活が苦しい国民からさらにカネをむしり取るのではなく、日本という国の効率化・スリム化にあるのでは・・・・というのがこの本の主張です(日本に関する記述はほとんどありませんが、著者が言おうとしているのはそういうことです)。

「世界の歴史を見ると、人間は、たびたび国の形を作り替えてきた」というお話が本書の前半に書かれています。具体的には、ホッブスの「国民国家」、J・S・ミルの「自由国家」、ウェッブの「福祉国家」です。つまり、時代の要請に応じて国家は自由にその形を変えることができるし、変わるべきなのです。国が大きくなりすぎて、莫大な税金が不透明な支出に使われているのであれば、スリムになるべきではないでしょうか?

本書の中盤から後半にかけては、中国・シンガポールや北欧の実例を挙げつつ、
「時代にあわせて」「国家を作り替えた」具体的な様子が描かれます。
詳しくは本書を読んでいただきいのですが、ポイントとなるのは「行政サービスに効率・競争の原理を採り入れる」「テクノロジーの活用」などです。

そして結論。大きくなりすぎた(しかも、なかなか改革が進まない)国家や政府・自治体がまずもって取り組むべき政策は下記の3つであると著者は主張します。

1:国有資産の売却
2:不透明な補助金の撤廃・削減
3:年金をはじめとする給付金の見直し

どうです? 増税よりも先にやるべきことがたくさんあるじゃないかと
皆さんは思われませんか?

序章 国家は何のために存在するのか
第1部 国家「理想像」の変遷史
 1 トマス・ホッブスの国民国家
 2 J・S・ミルの自由主義国家
 3 ビアトリス・ウェッブの福祉国家
 4 ミルトン・フリードマンの反革命
第2部 現在の国家・政府・地方が抱える問題点
 5 カリフォルニア州、7つの問題と1つの長所
 6 アジアに学ぶ「未来の国家」モデル
第3部 変革の嵐
 7 北欧――改革が始まる場所
 8 国家・政府を再起動せよ
 9 国家を再起動させる3つの政策
終章 第4の革命


ジョン・ミクルスウェイト[ジョン ミクルスウェイト]
著・文・その他

エイドリアン・ウールドリッジ[エイドリアン ウールドリッジ]
著・文・その他

浅川 佳秀[アサカワ ヨシヒデ]
翻訳

内容説明

鋭い国は増税せずに改革を実現させている。国有資産の売却、不透明な補助金の廃止、年金・給付金の見直し。まだまだ日本にもできることがある!

目次

国家はなぜ存在するのか
第1部 国家「理想像」の変遷史(トマス・ホッブズの国民国家―王による支配が終わり、国民が議会を通じて国を治める「国民国家」が誕生する;J.S.ミルの自由主義国家―実力次第で成功できる新しい制度や、効率的な小さな政府を望む声が高まる;ビアトリス・ウェッブの福祉国家―資本主義の矛盾が剥き出しになった時代、万人の幸福を国家が担う枠組みが生まれる;ミルトン・フリードマンの「半」革命―行き過ぎた福祉国家の反動で、スリム化の気運が生まれるも、不完全に終わった)
第2部 現在の国家・政府・地方が抱える問題点(カリフォルニア州、7つの問題と1つの長所―肥大化する行政や、利権化する公務員はなぜ世界中で常態化したのか?;アジアに学ぶ「未来の国家」モデル―良くも悪くも、シンガポールと中国が我々に教えてくれること)
第3部 変革の嵐(北欧―改革が始まる場所―スウェーデンやデンマークでは、行政に市場原理を導入して成功を収めつつある;国家・政府を再起動せよ―公務員や行政府が抱きがちな、誤った固定観念を捨て、新しい政策に舵を切れ;国家を作り替える3つの政策―鍵を握るのは国有資産売却・補助金の廃止・給付金制度の見直しだ)
第4の革命―民主主義の修正方法

著者等紹介

ミクルスウェイト,ジョン[ミクルスウェイト,ジョン] [Micklethwait,John]
英「エコノミスト」誌の編集長を務めるイギリス人ジャーナリスト。オックスフォード大学で歴史学などを学んだ後、チェース・マンハッタン銀行に2年間勤めてから「エコノミスト」編集部に所属。主にアメリカ支局でビジネス分野や政治分野の記事を担当し、2006年に編集長に就任。CNNやBBCなどのニュース番組への出演機会も多い

ウールドリッジ,エイドリアン[ウールドリッジ,エイドリアン] [Wooldridge,Adrian]
英「エコノミスト」誌のマネージメント・エディターとして活躍するイギリス人ジャーナリスト。オックスフォード大学で近代史などを学び、哲学の学位も取得している。同誌ではワシントンD.C.支局長や、アメリカ各地の特派員などを歴任。特に経営理論やアジア情勢、財政の分野に強い

浅川佳秀[アサカワヨシヒデ]
翻訳家。慶應義塾大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

19
14年初出。民主主義と国家肥大化は連動している(27頁)。文化経済学のボーモル氏病は、PCとネットで農業や産業と同様、公共部門、教育でも生産性を高める可能性が生まれたという(37頁)。素晴らしい時代か? 名誉革命:国民の権利を増やし、君主権力を弱体化(1688年、58頁)。現代日本の安倍政権では国民の権利が極小化か? 19C英国人が求めたのは税金回収の国家でなく、問題解決型国家(66頁)。国家資本主義の寿命は長くて50年(173頁)とも。 2015/03/31

まめタンク

3
2019年221冊目。キャッチーなタイトルですが、非常に難しい話です。要約すれば、国家そして現在の民主主義そのものが時代の流れに合ってないのではないか?という壮大なテーマを語ります。冷戦時代、民主主義は理想の国家思想だと喧伝されていました。けれども、統計ではここ最近で民主主義国家の数は減少している。決して中国のような一党独裁の独裁政治が正しいわけではないけれど、富の集中、格差拡大。本書では第4の革命と呼んでいるものが起こる必要があると言います。国家が効率的ではない、さてどうする?2019/08/25

脳疣沼

1
保守派の経済政策というものが良くわかる。現代のテクノロジーを使えば、小さな政府でも必要な医療福祉は用意できるかもしれないという話。アジアのエリート主義に注目している点が面白いが、歴史に耐えられる体制なのかはよく分からない。ただ、日本も欧米ばかりを見ないで、インドや中国、シンガポールを真似ようとする姿勢は必要かもしれない。イギリス人がアジアの良い政策を取り入れようとしているのに、アジア人の日本人がアジアを軽視するのは貪欲さが足りない。2016/07/24

友蔵

1
今までの流れが通用しなくなってきているから、世の中に閉塞感を感じる国民。それを分かっていない政治家。 日本の行政にも無駄やダブっているところや、考え方、やり方が化石化している部分がいっぱいある。 変化できない会社が淘汰されるように、変化できない国もまた存続できないと思う本だった。2015/03/03

ozapin

0
ブルームバーグに移ったばかりのミクルスウェイトさんのエコノミスト最後の著作だろうか。国の役割は永遠のテーマだが、歴史的背景から持論を展開する。消費税あげてはダメというのはアグリーだが、国はかなりスリムになってきたのも事実。均衡点を常に探っていこう。2015/04/26

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