出版社内容情報
人を悩ませる強弁・詭弁の正体から、脳から湯気の出る論理パズルまで。ソクラテスも寅さんも登場する、中公新書のベストセラーを改版。
内容説明
知的な観察によって、人を悩ます強弁・詭弁の正体を見やぶろう。言い負かし術には強くならなくとも、そこから議論を楽しむ「ゆとり」が生まれる。人食いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど、論理パズルの名品を題材に、論理のあそびをじっくり味わおう。それは、詭弁術に立ち向かうための頭の訓練にもなる。ギリシャの哲人からルイス・キャロルまでが登場する、愉快な論理学の本。「鏡と左右」問題の付録つき。
目次
1 議論の種々相(議論べたの悩み;無理押しの強み ほか)
2 強弁術(強弁術の誕生;小児型強弁 ほか)
3 詭弁術(詭弁術の誕生;強弁との境 ほか)
4 論理のあそび(やさしいパズル;説得ということ ほか)
著者等紹介
野崎昭弘[ノザキアキヒロ]
1936年(昭和11年)、神奈川県に生まれる。1959年、東京大学理学部数学科卒業。1961年、東京大学大学院修士課程修了。東京大学助教授、山梨大学教授(計算機科学科)、国際基督教大学教授(理学科)、大妻女子大学教授(社会情報学部)、サイバー大学IT総合学部教授を歴任。現在、大妻女子大学名誉教授。専攻、情報数学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
89
新書でありながら40年近くの年月を経て尚この面白さ。今まで読んでいなかったのを悔いる一冊。議論や会話の中から生まれる強弁、詭弁を見破っていくスタンスや論理のあそびとても面白い。2017/08/17
うえぽん
53
数学者が強弁術、詭弁術から論理パズルまで論じた著作。強弁術には寅さん風の小児型強弁のほか、魔女狩りに典型的な二分法、一見賛成しつつ重箱の隅をつつくような反論で帳消しにする相殺法等があるとする。ソフィスト等に由来する詭弁術は、言葉による真理の追求と紙一重とし、例えば三段論法には256通りの組合せがあるが、うち正しいのは24通りしかないとし、結果が受け入れられない消去法や、現実性のないドミノ理論の存在にも注意を促す。自分自身に言及する文などのパラドックスも面白い。強弁・詭弁への対処法として読むのが良いだろう。2024/09/08
びす男
51
「『議論が強い』極致と言えば、『黒を白といいくるめる』ということにつきるであろう」――。押しの強い相手にやられがちな自分は、この一文に安堵した■相手の話を聞かず、言いたいことを言いつのる「強弁」。それらしく聞こえるが、けむに巻いたり論点をすり替えたりする「詭弁」。それぞれ主な手法を紹介している。論理パズルも面白かった。相手の主張のどこで筋が通らないのか考える機会は、意外と少ない■議論など強くなくて構わないというのが、この本のスタンス。むしろ面白がる余裕を持ちなさい、と。何かを学ぶとは、そういうことだろう。2019/12/18
まちゃ
46
正論をかざしてくる人に勝てないまでも負けない程度の話上手になりたいと常々思ってきました。でも、なかなか簡単にはいかないものです。強弁・詭弁の正体を論理的に知ることで、言い負かし術に対抗するヒントになり、正しい論理的思考力を身に付ける役に立つと思います。強弁術・詭弁術を理解して、知的な議論を楽しむ「ゆとり」を身につけたいものです。/理屈ぬきの「押しの一手」は、「強弁」と呼ぶべきであろう。これに対して、多少とも論理や常識をふまえて「相手を丸めこむ(あるいはごまかす)」のが「詭弁」である。2020/07/15
姉勤
46
西山事件を好意的に評価していたり、野球選手として張本氏が出てきたりと、今更なんだこれと思ったら、1976年初版の復刻モノと知る。詭弁というよりは、モンスターペアレントや情報弱者のような確信的人物と、どう衝突を避けるかと、聖書や古今の例を牽いて詭弁を弄さないように心がけるのが前半、後半はクイズに近いロジック遊びに費やし、個人的には得る物は少なかった。時事に要求度が高い、報道姿勢やフェイクニュース的な内容を期待したが、当て外れ。2017/10/22