クリオネのしっぽ

長崎 夏海【著】/佐藤 真紀子【絵】

講談社（2014/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 194p／高さ 20cm
• 商品コード 9784062188487
• NDC分類 K913
• Cコード C8093

出版社内容情報

他人を拒絶するミウ、空気を読まないサッチ。中２の６月、浮いた者どうしが出会ってしまったから、自分とセカイの接点が見えた――。第30回坪田譲治文学賞受賞作！　『バッテリー』のあさのあつこ氏が絶賛の青春小説。

中２の６月、美羽は、学校というところは友だちをつくったり、楽しく過ごすための場所ではなく、「公共塾」だと考えることにした――。

いじめの首謀者である水泳部の先輩に逆らい、暴力を振るったことで、浮いた存在になってしまった美羽は、転校してきたオールドファッションなヤンキー娘・幸栄に対し、「かかわりたくない」と強く意識しながらも、まるで空気を読まずにからんでくる幸栄との接点が、どんどん増えていく自分に気がつく。

夫から「お姫様扱い」されながらも、浮気され、家を出て行かれた母親が徐々に自立していく過程や、病弱な弟の世話に明け暮れるクラスメート・唯のむき出しの本心に触れながら、美羽自身も、自分だけの世界にとどまらず、世界と自分とのつながりに目を向けはじめ、そここそが輝いていることに気がついていく。

中学２年生特有の、あのもやもやとした時期を切り取った、どこかドライで、どこかリアルな青春小説。

『バッテリー』のあさのあつこ氏が絶賛！（以下、推薦文）
ここには、少女たちの生身がある。
彼女たちは脆くも美しくも繊細でもない。
それぞれの現実を確かに生き抜いている。それだけだ。
それだけなのに、美羽の唯の幸栄の存在が
荒々しく迫ってくる。想いがゆっくりと染みてくる。
こんなにも静かで激しい物語に初めて触れた。

長崎 夏海［ナガサキ ナツミ］
著・文・その他

内容説明

「スナフキンの歌の『小さな動物はしっぽに弓を持っている』って、どう思う？」「リボンをつけなくちゃっていうのもあったよ」「リボンならなんとなくわかるけど、弓っていうのはなんか理解できなくて。武器？狩りの道具？」―中２の６月。学校は公共塾だと思うことにしてる。日本児童文学者協会賞受賞作家の最新作。

著者等紹介

長崎夏海［ナガサキナツミ］
１９６１年、東京都生まれ。都立城北高校卒業。２０００年、『トゥインクル』（小峰書店）で第４０回日本児童文学者協会賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[takaC]

クリオネも人間も、見えないしっぽがあるかもね。そこにはリボンじゃなくて弓を飾ろう。

2016/05/18

[ぶんこ]

クラスから浮き上がってしまう子供達。 原因の一つが先生だと思っているのですが、相変わらずの先生が多いですね。 美術の先生が、傷つき易い子供達の逃げ場を提供していてくれていて、ホッとしました。 幸栄さんが、美羽さんや唯さんと仲良くなっていくのも嬉しい事でした。 唯さんの懐の深さ、優しさが潤滑油となっているのでしょう。 辛くなりそうだった中学生生活が、3人の絆で楽しくなりそうですね。 良かった。

2014/10/02

[tokotoko]

中２。難しいと言われているこの時期の女子達の、ちょっぴり激しい？日々を描いた作品。３人の女の子が登場します。みんなタイプが違います。どんな風に繋がっていくのかな？っていうところがややこしいけれど、ちょっぴり楽しみでした。みなさんは「人には見えないしっぽがある」と思いますか？私は美羽ちゃんの話を聞いて、「あるかも」に１票！だって、人間関係でやだなぁーって思うことがあっても、「しっぽのせいなんじゃないの～！？」って思ったら、怒りつつ、心のどこかでクスッと笑えそうだから！最後にふと、そんな考えをくれた１冊です。

2014/07/05

[杏子]

この話は面白かった。作家さんは、初めて読んだかも？よく聞く名まえなんだが。あさのあつこさんの推薦文に惹かれて借りてみたが、拾い物だった。友だち関係がいいなと思う。この年代の子が読んだらきっと共感するだろうな。クリオネのしっぽ、というタイトルもいい。いっけん天使みたいに見えるクリオネだけど。しっぽがついてるクリオネたち・・・希望や勇気や愛や何かを美しいと思う心。それぞれリボンで飾ったり、弓で武器や狩りの道具になったり・・・見えないしっぽを持ってる彼らに、きっと未来の光はふってくるのだろう。

2014/06/10

[マツユキ]

主人公は、暴力事件を起こして以来、学校では要注意人物になってしまった女の子美羽。ある日、クラスに非行の噂のある転校生がやってきて…。児童書で、ヤンキーは珍しい。口が悪く、乱暴で、外見どおりなんだけど、それだけじゃないのは、きりっとした主人公も、地味めな友人も、お姫様な母も同じ。見てくれてる人はいるし、自分もいつか分かる日が来る。避けなきゃいけない人もいるのも事実なんだけどね。ややこしくて、面白い。不意打ちのアイドルグループ名、ありがとうございます。

2024/09/24