シナ海域 蜃気楼王国の興亡

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シナ海域 蜃気楼王国の興亡

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  • サイズ A5判/ページ数 350p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062185431
  • NDC分類 220
  • Cコード C0022

出版社内容情報

シナ海域で興亡を繰り返し、近世の始まりとともに消え去った「海上の王国」。足利義満、鄭和らの抱いた夢。海から見た新しい世界史。

尖閣諸島や南沙諸島をめぐって緊張が高まるシナ海域。かつてこの海には、〈日本〉でも〈中国〉でもない「蜃気楼の王国」が存在していた――。
世界史的視野とフィールドワークで、東アジア史研究に独自の成果をあげている気鋭の著者が書き下ろす、14-17世紀の海域アジア史。歴史を海から大胆に組み替える意欲作!

■アジアの海に痕跡だけを残して、歴史の舞台から消え去った〈王国〉の300年史!
本書の舞台は、チャイナ・シーズ(China seas)、すなわち東シナ海と南シナ海を中心とする中世の「海」です。堺から瀬戸内海を経て、長崎・平戸、朝鮮半島と中国沿岸部、さらに台湾からフィリピン、ジャカルタにまでいたる海を、あえて出身国でいえば、中国人、日本人、琉球人、ポルトガル人、ヴェトナム人…といった人々が、ジャンク(中国船)やガレオン船で自在に行き交った時代。彼ら「海域王国の住人」は、いかに生き、なぜ消えていったのでしょうか。

■日本国王・源義満とは誰か? 「海上政権」を夢みて闘った英雄たちの列伝。
歴史学の主流では、長く「英雄史観」は否定されてきました。しかし、本書ではあえて、未来へのヴィジョンを持ち、周囲を動かしてきた人物=英雄を取り上げます。明朝皇帝と巧みに交渉した足利義満、南海遠征を率いた宦官の鄭和、「倭寇の頭目」と呼ばれた王直、キリシタン大名・小西行長、清朝やオランダと戦った国姓爺こと鄭成功――。海の歴史を動かしてきた彼ら「英雄」を歴史学として客観的に分析する方法を提起し、その数奇なドラマを描きます。

■アジアの近世は海から始まった。〈世界史〉と〈国家〉をシナ海域から見直す!
しかし本書は、シナ海域という限られたエリアのローカルな歴史書ではありません。チンギス=ハンに始まるモンゴル帝国を契機に生まれた〈蜃気楼王国〉。この「海の政権」との長い抗争を経て、東アジアの陸地に生まれた近世国家が互いに交わした黙契とは。ヨーロッパ近代国家との比較も交えて、新たな「海から見た世界史」を提唱します。

序 章 蜃気楼の王国
第一章 足利義満と法悦の王国
第二章 鄭和とムスリムの帝国
第三章 王直と海上の王国
第四章 小西行長と神の国
第五章 鄭成功と未完の海洋王国
終 章  蜃気楼王国の終焉

【著者紹介】
1957年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、立教大学文学部教授。専攻は中国社会史。著書に『伝統中国』(講談社選書メチエ)、『森と緑の中国史』(岩波書店)、『トラが語る中国史』(山川出版社)、『海と帝国』(講談社「中国の歴史」第9巻)ほか。

内容説明

アジアの海に出現し、陸の住民が恐れ、憧れた「幻の王国」の三〇〇年史!英雄たちの夢と格闘から見えてくる、新しい世界史。

目次

序章 蜃気楼の王国
第1章 足利義満と法悦の王国
第2章 鄭和とムスリムの帝国
第3章 王直と海洋商人の王国
第4章 小西行長と神の王国
第5章 鄭成功と未完の海洋王国
終章 蜃気楼王国の終焉

著者等紹介

上田信[ウエダマコト]
1957年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、立教大学文学部教授。専攻は中国社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

maqiso

4
義満は日本全土を支配しているように見せて明に朝貢した。ムスリム出身の鄭和は明で頭角を現し、南シナ海域にムスリム華人のコミュニティを建ててインドとの交易を促進した。中国への密貿易が盛んになると陸上商人と連携した組織的な海上勢力が現れた。王直は五島を拠点に王国を築こうとしたが明に破れ、鄭成功は大陸の政権を受け継いたが清に押され、台湾の東インド会社を攻めて講和条約を結んだ。中国の政策に日本や東南アジアの戦乱や西洋の商人も絡んで面白いが、史料が少なくてどこまで確実かは怪しい。2022/04/09

Joao do Couto

3
中世から近世にかけて海上支配を基盤とする王国が東アジアで形成された、というストーリー。ポルトガルやオランダの海上帝国論にたいするアンチテーゼとして読めます。また海域世界をとおして、アジア的とか、西洋的とか、という見方を修正してくれます。ただ、小西行長とその王国構想はいまいち説得力に欠けている気がしました。2013/11/01

とし

2
中世のシナ海域の300年ほどの歴史を、5人の「英雄」を軸にして概観できる良著。すごい読み応えがあった。海賊衆が好きなので、王直のことが知りたくて読んだのだけれど、中国はもちろん、東南アジアの中世史なんてほとんど知らなかったから、何を読んでも面白かったし勉強になった。海域アジア史というのは非常に新しい研究分野だと思う。それこそ網野さんが海民に新視点を当てて以降のことなんだろう。台湾や中国や朝鮮や、他の東南アジアの国々でも、どんどん研究が進んで、その成果が各国の研究者の間で共有されるようになれば良いなぁ。2014/03/04

Oltmk

1
上田信氏によるかって足利義満・鄭和・王直・小西行長・鄭成功のかってシナ海域に交易などを通じて海洋王国を建設しようとした5名を描く専門書。上田氏を自覚している通り、歴史学で相手にされない一種の英雄史観が本書には込められており、上田氏の小西行長の観方や分析などは私見が過ぎるのではと思うため注意が必要。ただ、かって存在した東シナ海域への交易などのロマンを感じる人間にとっては必読の書であると思います。羽田正氏による「東インド会社とアジアの海」で描かれたポルトガルの興亡も本書で指摘されている蜃気楼王国なのではないか2018/06/11

MORITA

1
あったかもしれない「海の国家」。歴史の教科書は今ある国家の視点から描かれるけど、地域史という通史があればこんな形になるのだろうか。今の国の形は絶対ではないことを感じる。2015/12/31

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