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雲をつかむ話

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  • サイズ B6判/ページ数 255p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062176309
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

突然届いた「犯人」の手紙から、芋づる式ならぬ雲づる式に明かされる、わたしの奇妙な過去。野間文芸賞受賞後第一作、待望の長編小説人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろう――。
わたしの二ヵ国語詩集を買いたいと、若い男がエルベ川のほとりに建つ家をたずねてきた。彼女へのプレゼントにしたいので、日本的な模様の紙に包んで、リボンをかけてほしいという。わたしが包装紙を捜しているうちに、男は消えてしまった。
それから一年が過ぎ、わたしは一通の手紙を受け取る。
それがこの物語の始まりだった。

雲をつかむ話 第一章?一二章


多和田 葉子[タワダ ヨウコ]
著・文・その他

内容説明

「破産出版」という会社、「海老の地下室」というレストラン、「助ける手の家」という宿泊施設…。突然届いた犯人の手紙から、「雲づる式」に明かされるわたしの奇妙な過去。

著者等紹介

多和田葉子[タワダヨウコ]
1960年、東京生まれ。82年よりドイツに在住し、日本語とドイツ語で作品を手がける。91年『かかとを失くして』で群像新人文学賞、93年『犬婿入り』で芥川賞、2003年『容疑者の夜行列車』で谷崎潤一郎賞、伊藤整文学賞、11年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

162
とりとめもないというのでしょうか、最初は少し事件らしさを感じさせる導入部分があるのですが、読んでいるうちに何かほわっとした感じで物語なのかあるいは現実なのか境界があいまいになります。この作者のうまいところであると思います。いつも騙される感じがするのですが、それでも読んでしまいます。2017/04/09

どんぐり

93
「人は一生のうちに何度くらい犯人と出遭うのだろう」に始まる、多和田さんの犯人と出遭った実体験の話または妄想かとも思える創作。ジャンルでいえばエッセイ風小説。頭の中で膨らんでいく妄想に実際にあった話が交差する、つまり雲をつかむ話である。長距離の国際便の機内で、「隣にすわった男が人を殺したことがある可能性は意外に大きい」と、乗客の一人ひとりを観察し、値踏みする第11章がいちばん面白い。「まわりの人たちのドラマをすべて捏ね上げてしまったあとで、実はどの話も妄想ではなくて実際にあった話」という不思議な小説である。2019/01/07

(C17H26O4)

89
これです。このラスト。またわたし、ぽーんとどこかに放り投げられて、まだ戻って来られません。そもそも最初にどこにいたのかも分からないのだけど。多和田さんの言葉の集合はつかめない雲。雲の中で迷子になる戸惑いを楽しんでいると、急に雲間に光るようにとても素敵な表現が現れて、わずか一瞬わたしをリアルな感覚に引き戻す。はああっと息がもれてしまう。そして気づけばまた雲の中に。とても豊かで楽しい読書時間。雲蔓式多和田マジック。2019/04/09

mii22.

69
多和田さんには本当に翻弄される。いつもいきなりやってきて掴まれる。さんざん心を乱しておいて気が付けば置いてきぼり。あっちへぽとん、こっちへぽとんと落とされる。私の出逢った犯人たちは実在したのか、妄想なのか、夢?..ふわふわとした、まったく雲をつかむようなお話だ。どんどん不穏な空気に包まれていくのに、どんどん引き込まれてワクワクドキドキ気持ちは高鳴る。そしてやっぱりぽーんと放り投げられた。一瞬凍りついた心もしだいに溶けてゆるみニンマリするのは私なのか多和田さんなのか。またもややられてしまった!2018/09/01

クリママ

48
「人は一生のうち何人くらい犯人と出遭うのだろう。」という一文から始まる、犯人と出遭った話。作者自身の体験か、エッセイかと読み始める。作者の自宅に男が本を買いに訪れたこと、ハーバード大学でルームメイトだったベニ―タとマヤのそれぞれの言い分など、部分部分はとても興味深く面白く読んだが、時系列が前後し、話が飛び、全体をうまくつかみきれない。結末に向かい気持ちが高揚していくものの、私には、雲をつかむような話だった。2018/08/10

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