出版社内容情報
三山桂依初の小説。現代版アラビアンナイト一月に一篇、季節ごとに12人の登場人物がつむぐ人生の一瞬。詩と小説の間を漂う、日常と幻想。東京発、異国情緒(エトランジェ)文学。
内容説明
ある日、帰ってくると、私の大切なものが全て盗まれていた…。Webオリジナル連載小説、夜寝る前のひとときに読んでほしい、とても短い12篇の小説、。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっとる◎
36
どこからでも始まるので長月から始めることにした。何事も戦闘服乃至要塞が入用って呪いは無視して何を纏っても構わない。戦って疲弊するものは愛でも恋でもいらないなら脱いでもいい。秋が足りない。夏も足りない。足りてるのは足りないだけで、一ヶ月は日めくりの速さ。そうやって懐かしくて未だ知らぬ冬がきて、堕ちたのは雪だったか天使だったか。短くて伝わるものに意味なんてないのなら、一時間で過ぎる一年は無意味一択。それでも待っている。太陽の届かない部屋で春の光を。桜が散るのを。宝探しの八月を。そして何度でも九月は始まるんだ。2020/09/05
TANGO
25
図書館本。棚を巡っていたときに、目についた1冊。1年を長月からめぐる話が、短く短くまとめられていて、本、として手元に置いておきたくなった。眠りにつく前の、静かな穏やかな時間が楽しめそう。ひとつ読んで、そしてつぶやく。「おやすみなさいよい夢を。」2013/08/29
メルティ
17
夢か現か分からなくなるような、不思議なお話は、寝る前に読むのに最適。一話ごとの余白が心地よい。装丁も変わっていて、初めて手にした時、印刷ミスかと思ったほど(笑)スピンが、真っ白でシルクみたいな質感で、特別な感じがして好き。細部まで書き手のこだわりが感じられる。手元に置いてあるとなんだか嬉しくなるような一冊。2013/02/21
ガミ
16
旧暦月名を各章タイトルとし、つながりのない人(特に女性)たちのそれぞれの視点で語られる短編集です。寝る前の短時間で読めるような短い話でまとめられていますが、何気ない彼女たちの考えが独特で面白いです。「神無月」は、男が電車にはねられてしまう事故の現場にいる女子学生の短編がありますが、彼女がプラットホームの線路で見た小ネズミを、事故をきっかけに死神の使い手とイメージして物思いにふけるシーンがあります。年頃の女の子のそんな考え方が特に独創的で印象に残りました。2016/03/17
モッタ
11
★★★★☆ 12のストーリーは静かに音を奏でる。おやすみなさい。その言葉がお似合いだ。2011/09/24
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- 和書
- 胃袋を買いに。 文春文庫