人体冷凍―不死販売財団の恐怖

ジョンソン，ラリー〈Ｊｏｈｎｓｏｎ，Ｌａｒｒｙ〉/バルディガ，スコット【著】〈Ｂａｌｄｙｇａ，Ｓｃｏｔｔ〉/渡会 圭子【訳】

講談社（2010/11発売）

• サイズ B6判／ページ数 412p／高さ 20cm
• 商品コード 9784062162029
• NDC分類 936
• Cコード C0098

出版社内容情報

「ラリー、冷凍されている間は、彼等は死んではいない。生きているんだ！」

科学か詐欺か？　真実か狂気か？　「生命工学の天才集団」か「殺人カルト組織」か？
●クライオニクス（CRYONICS）
病気で死んだ人間の身体を冷凍保存する行為。その病気の治療法が開発された未来に甦り、新たな人生を送ることを主な目的とする。人体冷凍保存術。
●アルコー延命財団（ALCOR LIFE EXTENSION FOUNDATION）
米国でクライオニクスを実践する先駆的組織……。

※ 本書にはショッキングな写真が掲載されています。ご注意ください。

内容説明

好奇心と好条件で転職を決意した救急救命士。だが、新たな職場は、人体の冷凍保存と未来での復活を狂信する科学カルト集団だった…。全米を震撼させた戦慄の実話ホラー。

目次

転機
スコッツデールへ
奇妙な同僚たち
冷凍戦争
人体冷凍の歴史
研究所の正体
深みへ
人体冷凍保存処置
入会Ａ‐２０３２
テッド・ウィリアムズの不幸な晩年
支払うか死ぬか
盗聴
殺人の証拠
発覚
葛藤
テッド・ウィリアムズのその後
ドーラ・ケント事件の深い闇
果てなき闘い

著者等紹介

ジョンソン，ラリー［ジョンソン，ラリー］［Ｊｏｈｎｓｏｎ，Ｌａｒｒｙ］
救急救命士、航空救命士、大都市での救急サービス会社医療部長など、救急医療分野で３０年以上のキャリアを持つ。米国緊急医療会議での基調演説も行う。救急医療の教科書として現在広く使用されている。２００３年、アルコー延命財団の内部告発を行ったために殺害の脅迫を受けた。現在もアルコーの追手から逃れて潜伏中

バルディガ，スコット［バルディガ，スコット］［Ｂａｌｄｙｇａ，Ｓｃｏｔｔ］
マサチューセッツ州ウェスト・スプリングフィールドで育つ。１９９１年ボストン大学卒業後、４年間をジャマイカのキングストンでボランティア、教師、音楽活動などをして過ごす。１９９６年よりロサンゼルス在住。映画やテレビの脚本、編集、作曲などを手がけ、脚本監督や配役などにも関わる

渡会圭子［ワタライケイコ］
翻訳家。上智大学文学部卒業（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ゆかーん]

ホラー映画より怖くて恐ろしい話でした。背筋の凍るような人体実験の数々に、心臓がバクバクしました…。死んだ人間の体を冷凍保存して、未来にまで命を残そうという「アルコー延命財団」の医療行為は信じられないことばかりです。本来ならば、SF要素を秘める輝かしい理想郷なのかもしれませんが、その実態は目を覆いたくなるような悲惨な現実ばかりでした。死体の乱雑な扱い、生きている患者へ賞味期限切れの薬物の投与、排水の垂れ流し、患者への強引な資金徴収などなど、これが全て実話だというのですから恐怖しか感じません…。

2017/04/11

[kokada_jnet]

選民主義的なカルト教団と化した人体冷凍延命財団の内幕暴露。そのずさんさや、異常な目的至上主義がオウム真理教を連想させる。財団COOがSF作家のチャールズ・プラットであり、SFマガジン95年7月号には彼のエッセイ「フリーズ！　ぼくが人体冷凍保存を決意するまで」（大森望訳）が掲載されているという。

2011/02/08

[mittsko]

科学技術へのどぎつい信頼と、妄想とすら言いたくなるSF的想像力、そして同じ妄信と妄想を共有する仲間たちとの協働と絆感、選民意識…　それら「だけ」が疾駆すると、いかに危険な「カルト」が誕生するか…　「宗教団体ではないカルト」「世俗的カルト」（私的造語）、その脱会者による告発の書　※ 本気で気分が悪くなった、怖い、吐き気がする　ボクは職業柄、宗教団体のカルトとの狂気狂態とそれへの対峙にはいくらか慣れているのだが、米ボスの「カルト」は訳が違う　「裏切り」への報復が暴力的すぎる、単純に怖いよ

2023/12/27

[澤水月]

とにかくツナ缶…！「バンブルビー・ツナ」食べたくなったが。写真の割に描写はソフト。著名野球人の頭部切断、カルト脱会の困難（現在進行形！）、著名ＳＦ作家もハマった疑似科学の怖さ。遺体奪還騒動は夢野久作一家を想起。久作の父で著名右翼・杉山茂丸は「死んでもお国のため」と自ら東大に献体…したはいいが気の毒なのは妻（後妻で久作と血は繋がらない）。死後カッ捌かれるのはイヤと泣くも、茂丸の遺言発動で骨格標本にされてしまった…。夢野久作両親の骨は一部心ならずも並んで東大標本室に飾られている。割と身近におかしな事象は潜む…

2011/01/11

[くまちゃん]

これが実話とは・・・。アルコー自体も問題だけど、まずこれを信じている署名な有名人、お金持ち、天才科学者がいる事が信じられない。普通に考えればヤバい団体だってわかるはずじゃないかって思うけど、これが洗脳された状況なのか。一番信じがたいのはアルコーの社員。「セカンドライフ」と言う考えは洗脳されているとしても、いい加減な手術、手配の不十分さがいつまでも改善されない状況で自分も冷凍されたいと本当に思えるものなのか・・。

2013/12/14