出版社内容情報
心の深みから湧き上がる言葉で紡がれた物語。
さかをのぼるように、さかのぼる時と心。「言葉」と「言葉」が繋がり、重なり、踊りながら、物語を紡いでいく。詩人ならではのリズムを底に秘めた絶好小説世界。
内容説明
坂は人間を恨んでいる。―心の深みから湧き上がる言葉。海を越え、坂で遊ぶ、大人小説の醍醐味。
著者等紹介
平田俊子[ヒラタトシコ]
詩人・劇作家・小説家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
68
平田さん初読み。詩人、劇作家、小説家だそうだ。この物語もリズミカルな感覚があるように思う。言葉で拍子をとるように。曖昧な感情、流れに身を任せるような暮らし。たくさんの坂の名前が人の暮らしを感じさせる。そして、墓島、餓島・・・。地名って人の思いが宿ってしまうような気がする。毎日毎日その坂を見上げ歩くたびに念仏のように唱える自分の思い。自分の感情が溢れて流れて水たまりがいつの間にか深い海にでもなってしまったような作品だった。物語を書くと言うよりも自分の心の中の物を空けた感じかなぁ~。平田作品をもっと読んでみた2013/03/18
ブルームーン
18
初読みの作家さん。詩人でもあるということを読んだ後知り、言われてみればところどころポエムっぽかったなと納得。南太平洋の小さな島で戦死した伯父の慰霊に旅立つ主人公。そこに絡む親族、過去のエピソード、近所の環境などが描かれている。最初、主人公は20代の若い人物かと思っていたら、結構年齢が上だったということに途中で気づきびっくり。物語がところどころ歴史上の人物に飛んで行き、ついていけない部分もあった。主人公は仕事もせずにどうやって生活しているのだろう?2013/12/04
kiho
10
独特の文体に、詩人の一面が感じられる…現代と記憶の彼方にある伯父の人生。慰霊の旅もまた過去と現在を行き来するような…読み終えてはたと思う…そんな一冊⭐2017/02/02
ぶんこ
7
量としては2時間もあれば読めてしまう本でした。 読み終わって、はて、何の本だったのかなと思ってしまう、そんな本でした。 エッセイ? 詩人との事。 そう知ると、何と無く納得しましたが、何でと聞かれてもわかりません。2014/02/05
はなみずき
5
かけあっている感情のからみがおもしろい。主人公の夫との別れ、伯父への慕情(遺族というみえていない血族への想い)、どれもなんとなく不確かな、曖昧な、本人でさえ確信してないかもしれない何かにひっぱられていくような感情の作用というか。なんか異様なんだけど芯がみえる。坂を歩いてみたくなった。2010/06/13