島田荘司選アジア本格リーグ
蝶の夢―乱神館記

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  • サイズ B6判/ページ数 394p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062159012
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

内容説明

唐の天宝年間、玄宗皇帝の御世。都長安の西に建つ乱神館の女館主、離春は容貌魁偉、陰陽道に通じて鬼神をあやつり、降霊の術をもって生業としていた。ある日、乱神館を訪れた富豪封家の息子亦然は、離春の力で母の霊魂と会わせてほしいという。母親の玉蝶は、幽霊伝説の残る邸内の井戸端で五日前に横死をとげていたのだ。封家へ乗り込んだ離春は、その不思議な力で、事件の背後に隠された驚くべき秘密に迫っていく。中国推理小説界の新星が放つ、時代ミステリーの傑作。

著者等紹介

水天一色[シュイティエンイースー]
1981年生まれ。十九歳で本格的に創作を開始し、インターネットサイトに作品を発表し始める。北京工業大学コンピューター学部を卒業後、2006年からミステリー専門誌『推理』の編集者となり、同誌を中心に作品を発表している

大澤理子[オオサワリコ]
1970年生まれ。東京大学大学院修了。中国近現代文学研究専攻。法政大学、武蔵野大学等で非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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るすみら

9
中国の作家、水天一色氏の作品を翻訳した一冊。舞台は唐代、天宝年間。長安の片隅に、乱神館と呼ばれる死者との邂逅を叶えてくれる場所があった。乱神館館主、離春の元に富豪の封家から幼い依頼者が訪れる。五日前に溺死した母に会わせて欲しいというのだ…。陰陽の術に長けていると思われている離春が、その手の妖術とは距離を置き「普通」に事件を推理し解き明かす様が意外で面白かった。翻訳のせいか原文がそうなのか大仰な物言いが多く、それも時代物の雰囲気を出している気がした。著者による後書きで唐代を舞台にした理由が書いて有り、爆笑。2010/02/01

水理堂

2
古代の中国、主人公の乱神館館主の離春は霊媒師を偽って、人の心を見極めて、殺人事件を解決する物語です。 事件はちょっと地味で、推理も大体心理の方面の推理なので、少々退屈ですが、総じていい作品だと思います。 ところで、離春はちょっと京極堂な雰囲気があって、特に最後の儀式に、わざわざ白い袍を着いて事件を解決するとはなおさらです2025/07/26

名無しのオプ

0
途中までは晦渋な訳文も手伝って退屈さが優っていたものの、解決編に至ってそういうことだったのか!と膝を打つ。個人的な感触としてはクイーンよりはクリスティのような。女性らしい心理をたいせつに扱ったミステリだなあ、と。訳がくどいのか原文がくどいのか判別つきかねるところがあるので、原文も余力があれば当たってみたいなあ……(原書購入済み)。2014/08/12

やっす

0
中国発の本格ミステリは初読。解説によれば、中国は今本格ミステリの発展途上にあり、作家数・作品数ともに日本に比べてまだまだなのだとか。今作は、展開は地味ですが、何気ない会話や証言の中に伏線が散りばめられ、 解決でそれらの伏線が一つの構図に収束する様はなかなかに見事で、本格ミステリとして十分に楽しめました。解説では、御手洗熊猫なる作家の『異想天開之瞬移魔法』、『二十角館的無頭屍』など、非常に気になる作家や作品が挙げられていて、今後の中国発本格ミステリの発展と、翻訳出版が更に進むことを願わずにいられません。2013/11/12

nashi

0
主人公離春は霊能者を名乗り、肩書きをしたたかに利用しながら、実は論理で謎を解いていく。辛辣ながら思いやりにあふれた魅力的な探偵だ。意外な真相が楽しめる本格でありながら、人物の愛憎劇もしみじみとして読書欲が満たされる。原文は唐代という時代設定を存分に生かし、古雅な中国語を駆使しているはず。邦訳では十分に味わえないのが心残りだ。それほど舞台構築は見事で、吸い込まれる。2012/08/06

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