内容説明
最下層の身分ゆえに、討死にして髻だけになって帰ってきた父のようにはなりたくない、と連歌の道に進んだ里村紹巴は、天下一の連歌師へと駆け上った。戦国期の名だたる権力者に近づいて、政治の世界でも地位を確かにしていった紹巴だが、なぜか辞世の歌を残さなかった。そのしたたかな生き様を描く長編小説。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年、岐阜県生まれ。一橋大学卒業の頃から小説を書き始める。’96年に「一所懸命」で小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。2003年、『月ノ浦惣庄公事置書』(文藝春秋)で松本清張賞を受賞。その受賞第一作にあたる『十楽の夢』(文藝春秋)で、直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とら
10
連歌師という職業で以て戦国時代を生き抜いた紹巴。その生涯を面白く読み終えた。連歌で一座を組むのが仕事とはさぞかし才能がいる事と思う。2020/03/23
あかんべ
6
光秀を裏でそそのかした、なんて話もあったが、ここではひたすら連歌の道を歌骨が無いなんて言われながらもがんばる姿が、いじらしい。けれど晩年怒りっぽく扱いにくい老人になったのはいただけない。2014/02/12
こまったまこ
6
戦国時代の連歌師里村紹巴の波乱万丈な物語です。紹巴というと明智光秀が本能寺直前に愛宕山で連歌会を催した時の人物で有名です。光秀の謀反を紹巴は気付かなかったと言っています。「ときは今」を土岐氏にかけているのはでっちあげだと言っているのが興味深いです。連歌師の立場から見た戦国時代というのも視点が変わっていて面白いです。戦があると「武士は大変だ。連歌師でよかった」などと戦国武将の間を渡り歩いているくせに他人事のように言うのか面白いです。この作者様らしくユーモアたっぷりの場面もあり、とても楽しく興味深く読めました2010/05/15
藤枝梅安
6
岩井さんは「戦国連歌師」や「踊る陰陽師」で連歌にかかわる人々を描いたが、この小説では里村紹巴を取り上げている。 奈良の貧しい家に生まれた紹巴は、戦国の世を生き延びるために連歌を選び、歴史に名を残したが、必ずしも良い評価ばかりではない。辞世の句を残さなかった紹巴の人生をこの作家は客観的に観ている。紹巴にとって連歌は芸術ではなく世を渡る術だったという作者の考えをわかりやすい物語にしている。2010/02/10
まさ影
4
『戦国連歌師』の友軌がチョイ役で出てくるのがご愛敬。2014/01/31
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