ポトスライムの舟

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  • サイズ B6判/ページ数 186p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062152877
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

★第140回芥川賞受賞作品。
年収163万円、29歳 契約社員──夢は世界一周。
お金がなくても、無理をしなくても、大事なことは毎日少しづつ育ててゆける。ある一枚のポスターから拡がる、契約社員・ナガセの夢。母親、友人とその娘、職場の先輩とのなにげなくもかけがえのない生活。持てるものは少なくても、工夫と信頼できっと人生は楽しめる!
「生きている実感」に溢れた、みずみずしい文学の登場!

内容説明

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。

著者等紹介

津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪市生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。2005年「マンイーター」で第21回太宰治賞を受賞。2008年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞受賞。「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

379
2008年下半期、芥川賞受賞作。同時期の候補者には鹿島田真希や田中慎弥もいて、なかなかに激戦だった。まず、タイトルがいい。ポトスライムは、色彩の鮮やかさと瑞々しさを喚起するが、そこに舟が加わることで、イメージに一層の拡がりが生まれる。次にリズムがあり、スピード感に溢れる文体が爽やかだ。けっして明るい物語ではないのだが、暗く落ち込んで行くこともない。視点人物である主人公のナガセをはじめ、りつ子にも、母にも、その他の登場人物にも、どこにも男の影のない小説だ。そうなのだ。女はかくも自立して生きて行けるのだ。2013/06/04

みも

205
表題作104頁『十二月の窓辺』77頁の2篇。ある意味2篇は「対」を成すのか。微妙な年齢を迎える自分に漫然たる不安を抱え、労働対価や仕事の意義を模索する女性。モラハラに遭いながら神経を摩耗させ、必死で会社組織の理不尽さとの距離感を保とうとする女性。端正且つ細緻な筆致で、丹念に日常の些事や思考を綴る。ただ修辞的には驚嘆すべき比喩もなく、生真面目で月並みな形容が並ぶ文章。構成の技法は巧妙であると思うが、文学作品として昇華されているのか否かは些か心許ない。芥川賞受賞作ですと聞けば「ああ、そうか」と頷くだけである。2020/05/11

遥かなる想い

203
2009年度芥川賞受賞。工場で働く者の視点で「時間を金で売る」虚しさを巧みに描いてはいるが、やや淡々とした筆致が気になる。文学的な技巧の高さを評価されての受賞らしいが、私にはかえって盛り上がりのない物語にしているように思えた。2011/08/12

みっちゃん

161
ナガセとツガワ。名前は変わっているけれど、『十二月の~』は『ポトスライム』の前日譚と私は受け取った。付け入れそうなひとをその嗅覚で嗅ぎわけて、浸食、搾取して支配し、恫喝を繰り返す人間と、そこから逃れたくてもその真面目さ、弱さ、優しさ故に疲れはて、弱るだけのひと達。これまで読んだ津村作品だけでも何度か出くわした構図だ。怒りが沸き起こる。どうか彼女が自らを人生の落伍者、と決めつけることなく、ささやかでも穏やかな暮らしを取り戻せるように。祈るような気持ちで『ポースケ』に進む。2022/06/11

扉のこちら側

151
初読。2014年196冊め。働くつらさ。読むのが苦しかった。2014/03/16

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