内容説明
ラシャメンから下働きに落とされた希沙は、ただ一人、優しい言葉をかけてくれた加世とともに、英国人貿易商ウエルズの家に、岩亀楼から派遣された。が、遊郭も居留地も焼き尽くした豚屋火事で焼き出され、清国人の周とともに神戸に移った。時を経て横浜に戻った希沙は、またも運命に翻弄される。かつて、希沙をどん底に陥れた張本人は誰だったのか。希沙に平安は訪れるのか。百五十年前の横浜を生きた女・希沙の半生を描く。
著者等紹介
山崎洋子[ヤマザキヨウコ]
1947年、京都府宮津市生まれ。コピーライター、児童読物作家、脚本家などを経て第32回江戸川乱歩賞を『花園の迷宮』で受賞し、作家デビュー。横浜を描く作家として名高い。現在は、小説だけでなく、ノンフィクション、戯曲なども手がけ、また2009年の横浜開港150周年に向けてのさまざまなプロジェクトにも関わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ツカモトカネユキ
5
2007年発行。幕末から明治初頭の混乱期。さらに混乱の激しい外国人との交流の多い横浜を舞台にしております。横浜を舞台にした作品の多い作者ならではの作品。ガール・ミーツ・ボーイもので、レディコミ要素が多いです。物語は予想通りに進むのでなく、ひねりを効かせて楽しませてくれます。主人公たちがそれぞれの想い描く結末にはなりませんが、それでいて明るい未来を見せてくれるのには好印象を受けました。最近、読んだ女性が身体を張る物語は、不幸な結末が多かったのですが、本作は将来に明るい兆しが見えて爽快感がありました。2023/05/17
ひろえいおう
1
涙涙思わず涙しました。初めて借りた作家さんですが、読みやすく。たまたま行った事のある場所と、江戸末期の物語を読んでいたので想像しやすかったです。本の表紙から「遊郭」の話と思っていましたが、一人の女性の生き様でした。2011/01/15
のぞきねこ
0
結ばれるまでがじれったくて、現代っ子にはすっきりしないかも。2014/09/11
Hiroyuki Nakajima
0
横浜公園は遊郭の跡地とは知りませんでした、耐える事と言いなりになる事は意味合いが違う周さんの言葉が心に響きました、最後の展開は予想外で驚きでした2014/09/04
海月
0
横浜の昔の地図と照らし合わせながら読み直したい、と思いつつ、『赤い崖』が生み出されるくだりが辛く、なかなか読み返せずにいる。2014/01/15