内容説明
書き残しておきたい自伝的事実、著者晩年の想い。祈りと回想のエッセイ集。
目次
紙片の群れ・思いの群れ
私の家系
音楽、いつまでも音楽
清岡卓行氏の作品の周辺で
影響を受けた芸術を思い出す
最初のヨーロッパ旅行の回想
よくみる夢
日記文学とか伝記文学とか
誰かが生き終わると見えてくる何か
一人の人の、人生〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
12
通り抜けた、後。し終えた、謎を解き終えた、後。と言った印象。退いた、と言う。終えた、と言う。人生を。生に在って、けれど遠くにいる。遠くより、見ている。元よりよく見ていた人。他者を。自分自身を。何よりも自分自身の内にあるものを。見尽くそうとしていた人。祈るとは、下降する事。降りて行く事。自分自身の内部に。深みに。奥底へと。自分自身にさえ操れ得ぬ領域まで。潜って行く事。繰り返し、挑み続けたのだと思う。今はもう、苦しみも、痛みも超え、その果てに辿り着いたものの、何もかもを見尽くし終えたものの、落ち着きがあった。2018/01/07