内容説明
大奥での「秘め事」を胸に商家に嫁いだ女、戦に狂わされた過去を捨てて生きる会津の女、苦界から大料亭の女将へ這い上がった女。江戸から明治へ。女たちは「それぞれの橋」を渡った。
感想・レビュー
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おかめ
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江戸から明治へ、激動の時代を自らの才覚で道を切り開いていく三人の女たち。中でも御殿女中だった美代の意外な強さに驚き。まさに歴史の陰に女あり…。2015/06/10
星落秋風五丈原
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お倉の情人の亀次郎、美代が惚れる井沢、律を慕う栄吉も、律の旦那になる延三郎も、十四代将軍家茂も、戦うヒロインに比べると影が薄い。亀次郎の述懐「世間には、自分は惚れても、自分が惚れられるのは好まないという類の男女がごまんといる。お倉は男に惚れるのが嬉しくて惚れられるのは嫌なたちなのだ。それでなければ女郎はつとまらない。惚れ役の女は、男にぎらぎらした眼を向けられると虫酸が走るというたちで、そのくせ自分が惚れた男に向ける眼がぎらぎらして鼻の頭に汗を浮かべていることには気がつかない。」お倉も律も美代も惚れる女。2004/03/02