内容説明
一人の引きこもりの青年が体内に共生虫を飼っている。…絶滅をプログラミングされた種は、共生虫の終宿主となる。ある種が自ら絶滅をプログラミングするということは、生態系の次の段階を準備するということでもある。例えば恐竜の絶滅は次の生命環境のために、つまり次代の全生物の共生のために不可欠だった。共生虫は、自ら絶滅をプログラミングした人類の、新しい希望とも言える。共生虫を体内に飼っている選ばれた人間は、殺人・殺戮と自殺の権利を神から委ねられているのである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
39
体内に宿る虫、引きこもり、インターネット。選ばれた存在だと自覚したことで求める生贄。衝撃作としか言えません。2024/08/13
ノブヲ
22
ウエハラという少年は、あるとき自分の名前を捨てた。引きこもりを続け「うつ病」と診断された。家族からも見放されつつある状況の中、彼はサカガミヨシコというニュースキャスターに興味を示す。それは次の未来への新たな一歩なのか、それとも単に事件のはじまりなのか。インターネット社会それ自体を主体的に描写しようと思えば、必然と不毛でとりとめのないものになってしまう。それはたとえばスマホばかりいじっている少年や少女を中心に、それでも文学を語ろうとしたときの困難にも等しい。そんな現代文学の行く末を暗示するかのような小説。2024/10/25
詩界 -うたか-
4
想像すると虫苦手だからか凄く気持ち悪くなるけど作品としてはすごく面白くて、想像力豊かな描写で凄いです。でも二度と読めません(虫ィ)
ひと
4
20年も前に書かれた本なのに、ひきこもりやネットの危険性が詳しく書いてありすごいと思いました。面白くて1日で読んでしまいました。2019/02/09
モコモコ
4
ひきこもり✖インターネット✖暴力というところかな。 前半は、ただの勘違いひきこもりが、暴力的になって破滅する話なのかな、と思ったのですがそんな感じでもなかったです。 人に嘘をつかれて傷つけられて、ボロボロになるっていうところとかネット黎明期を思いだしました。お仕着せの希望についての後書きよんでから読む方がしっくりきます。2017/07/26
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- 和書
- 精霊の守り人 新潮文庫