内容説明
アメリカ人による日本文学の秀作!台湾のアメリカ外交官の家にさす日本の影。薬品のにおいと耳に残る父、母、弟の言葉、そして歌。芥川賞候補作家による秀作2篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
328
リービ英雄は以前から名前はよく知っていたが、読むのは初めて。本書は彼の3冊目にあたる。多分に自伝的な内容が語られていると思われる。作品内の時間は、しばらくぶりにヴァージニアに帰郷した現在、幼少期を過ごした台湾時代、その後の少年期のヴァージニアの3つが行き来する。台湾の「日本人作的」の家が彼にとっては最も自分の家と認知できるのだが、それは異国であり、自らの国ではなかった。では、アメリカはどうなのかと言えば、そこもまた異国であり、日本にいる時にも「外人」でしかなかったのである。すなわち、彼は永遠に異邦人で⇒2022/03/22
エトランジェ
2
レビューを書く際、この本が出てこなかったので、旧Amazon検索で検索したところ、改めてリービ英雄の著作の多さに驚かされる。私小説作家の作品が全て共通した体験を題材に書かれるものなのかどうかはわからないが、それらを追っていくうちにある種の親しみみたいなものが読み手の内に湧いてくる。”似たような話”と切り捨てる読者もいるかもしれない一方で、愛読者はまさしくそれを(そこから枝分かれしていく話を)欲するようになるわけで、自分がこうして立て続けにリービ作品を読んでいる今の状況はまさにそれかなと思う。2023/04/16