内容説明
愛する者を失ない、心に空洞を抱えて生きねばならぬ人々を古都鎌倉はやさしく包みこんでくれる。ささやかだが懸命な日常を温かいまなざしで描いた短篇連作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロータス
1
鎌倉を舞台とした連作短編集。いかにもひと昔前の小説といった風情で、今の感覚からすると古い。鎌倉に何度も行ったことがあるので鎌倉の描写は楽しく読めたが、それだけだった。2021/01/12
しいくん
0
鎌倉の街を舞台にしたミニ群像小説。作者が62歳のときの作だけあって枯れた味わいが濃く感じられました。娘二人を持つ図書館職員の視点で書かれた章が個人的には一番の出来と思いましたが,それは主人公と作者の実年齢が近いせいかもしれません。中学校の国語の教科書に乗せたいような,お行儀のよい,洗練された文章で「濃厚なフレンチやイタリアンの後の懐石料理」的に楽しむとよいかもしれません。読み終わった後,今度の日曜日,鎌倉に行ってみようかな,と思わずつぶやいてしまうような一品です。2012/05/23