内容説明
ゴルバチョフの改革路線によって、緊張緩和の大きなうねりが世界を覆っていた。が、そのムードに水をかけるような大事件が発生した。プロバスケットの試合中であったニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンに旅客機が墜落したのだ。しかも、事故機内には毒ガスが仕掛けられていた。調査の結果、毒ガスがソ連製と判明し、大惨事の衝撃と相まって、アメリカ国内に反ソムードが高まった…。世界を揺るがす改革の激震を背景に、いま最もホットな小説が出現した。第36回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KJ
4
ソ連を覆う改革と混沌の空気。思惑が交錯する米ソ。間隙に躍進する日本。冷戦末期の国際情勢を俯瞰し危機管理の動静を体感出来る。様々な価値判断の上部に位置し暴走を引き起こし得る米国に於ける信仰。テロは愛国主義者に免罪符を与え平和の進展を阻害する。万人が望むなら平和の実現は可能だ。但し世界には戦争を必要とする人間が存在する。敵は自然に出現しない。敵失で支障を来す者の身勝手な理屈で意図的に生み出される。大規模なテロ事件。政治上の駆け引き。謎の組織と蠢く陰謀。激動する時代の緊張感に包まれ映画を活字で読む感覚を味わう。2023/02/28
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- 和書
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