講談社文芸文庫
鰐―ドストエフスキーユーモア小説集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984967
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ドストエフスキーは最初から「ユーモア作家」だった!

怪しい色男を巡る、2人の紳士の空疎な手紙のやり取り。寝取られた亭主の滑稽かつ珍奇で懸命なドタバタ喜劇。小心者で人目を気にする閣下の無様で哀しい失態の物語。鰐に呑み込まれた男を取り巻く人々の不条理な論理と会話。19世紀半ばのロシア社会への鋭い批評と、ペテルブルグの街のゴシップを種にした、都会派作家ドストエフスキーの真骨頂、初期・中期のヴォードヴィル的ユーモア小説4篇を収録。

沼野充義
ここに収められた初期から中期のドストエフスキー作品の基調ともいうべきものは、延々と続く形而上的議論の底知れぬ深みに下りていく手前で踏みとどまり(いったん呑み込まれたら這い出すことができないような深みがあることはすでに予感されるとはいえ)、あえて表層で戯れ続けているような感じさえ与える過剰な言葉と自意識のドタバタ劇場であって、ドストエフスキーは明らかにユーモア作家でもあった。――<「解説」より>

ドストエフスキー[ドストエフスキー]
著・文・その他

工藤 精一郎[クドウ セイイチロウ]
翻訳

原 卓也[ハラ タクヤ]
翻訳

小沼 文彦[コヌマ フミヒコ]
翻訳

沼野 充義[ヌマノ ミツヨシ]
編集

内容説明

怪しい色男を巡る、二人の紳士の空疎な手紙のやり取り。寝取られた亭主の滑稽かつ珍奇で懸命なドタバタ喜劇。小心者で人目を気にする閣下の無様で哀しい失態の物語。鰐に呑み込まれた男を取り巻く人々の不条理な論理と会話。十九世紀半ばのロシア社会への鋭い批評と、ペテルブルグの街のゴシップを種にした、都会派作家ドストエフスキーの真骨頂、初期・中期のヴォードヴィル的ユーモア小説四篇を収録。

著者等紹介

ドストエフスキー[ドストエフスキー][Достоевский,Федор Михайлович]
1821・10・30~81・1・28。ロシアの小説家。モスクワ生まれ。父は慈善病院の医師。工兵士官学校卒業後、工兵局製図室に配属されるが、一年ほどで退役。以後は文筆活動に専念。1846年処女作『貧しき人々』で華々しくデビューするが、49年ペトラシェフスキー事件に連座、逮捕され、シベリアに流刑。刑期をつとめ上げた後『死の家の記録』等で復帰。封建的秩序が崩壊していく過渡期にあって、矛盾にみちた時代状況を尖鋭に捉え、『地下室の手記』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』等、人間存在の本質を根源的に追求する文学を創造した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

282
ドストエフスキーには珍しい寓話小説。時の世相に対する風刺に満ちた作品である。自身の主宰する雑誌「エポーハ」の1865年2月号に発表された。翌年には『罪と罰』が出版され、以下続々とドストエフスキーの代表的な長編小説が続くことになる。その意味では、本作はまさにドストエフスキーが胎動し始める時期のものということになる。プロットはおよそ荒唐無稽で、見世物小屋のワニに呑み込まれた下級官吏イヴァンの見果てぬ大言壮語と、その妻エレーナの艷やかな夢、全く役に立たない官吏のチモフェイ、そして語り手の「私」。⇒2025/03/06

のっち♬

58
ユーモア小説というコンセプトで集められた四編。前半の妻を寝取られた夫が嫉妬心から起こすドタバタ喜劇は後の『永遠の夫』を彷彿させる。醜態を晒す閣下を描いた『いまわしい話』は何ともやるせなさが漂う後味で、鰐に飲み込まれた男を描いた奇想天外な設定の『鰐』も一見軽妙なタッチながらかなりアイロニカル。特に後半二編は逮捕前の著者による風刺的な要素が多分に盛り込まれており、滑稽な場面は盛り込まれているものの、一概にユーモア小説とは言えない内容だ。過剰な自意識への鋭い洞察を見せつつも、著者の意外な一面が垣間見れる短編集。2018/07/26

ヨーイチ

39
青空文庫で「鰐」のみ読了。翻訳が何と森鷗外!はて?鷗外がドストエフスキーを翻訳?って疑問を持ちつつ読了。最後の資料でどうやらドイツ語版を翻訳した模様。大体「鰐」って漢字も異なっている。「そう言えばドストエフスキーって中学で「罪と罰」を挫折して以来読んでないなぁ」と思い出し軽い気持ちでダウンロード。中身は笑話とか寓話風の短編。面白かった。取り敢えず初ドストエフスキーを通過。大作に挑む予定は特にない。2017/10/06

長谷川透

35
ドストエフスキーの小説はまずは大長編であり、重厚で難解、高尚な主題を帯びた文学の中の文学という印象、偏見がどうしてもあるが、実はこの作家は非常にユーモアがあってお茶目なのではないかと思わせる節々が彼の長篇小説にはある。とは言えドストエフスキーの小説は実はお茶目だと人に伝えても同意を得ることは難しく、読んでみてと言っても気軽に取ってくれる人はまずいない。だが、このユーモア小説集は手っ取り早くドストエフスキーのユーモアと茶目っけを読者に伝えてくれる優れた一冊だ。大文豪のイメージが変わることは間違いないだろう。2013/01/16

みーまりぽん

20
おぉ!ドストエフスキーのユーモア小説集!? そう思って読んだのですが、収録4作品、どれもそのまんまの意味でドタバタ喜劇、まじかよドストエフスキー。。 ぶっちゃけたところそんな感じで、現代日本人であるみーまりぽんにとってはちょっといただけないレベルであったとしか・・・コントで見せてもらった方がいいかもねー 「鰐」だけは少し奇抜なアイデアの作品かな、と思いましたが、他はどうだろドタバタ騒いでるだけの冗長な作品と言ってしまいましょうか。。 すまん、これ読んで君が書いたとは当てられないよ、ドストエフスキー君。2014/08/06

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