講談社文芸文庫
柿二つ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 300p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984868
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

正岡子規と高浜虚子―無二の友でありかつ火花を散らす二つの個性。病床に臥す子規の日常、死を所有する内奥の恐怖と孤独を凝視、写実に徹した写生文の白眉と評された長篇小説。

著者等紹介

高浜虚子[タカハマキョシ]
1874・2・22~1959・4・8。俳人。小説家。愛媛県松山の生まれ。本名池内清。のち高浜姓。伊予尋常中学同級の河東碧梧桐を介し正岡子規を知り虚子と号した。1892年9月、京都三高入学。子規の俳句革新運動に参加。98年に子規のすすめで書いた小品は写生文の嚆矢とされる。また松山の俳誌「ホトトギス」を東京に移し刊行。夏目漱石「吾輩は猫である」などを掲載。明治末年俳壇に復帰、水原秋桜子等の俳人を育成、俳壇の重鎮となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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AR読書記録

5
師から期待をかけられ深く気持ちを寄せられている身であって、しかしそれが重荷であることを隠すことのできないままに離れることもなくその死まで看取り、そして主にすでに亡くなった師の視点から二人の関係を描く、まずその構造の試みがすごいなぁ...と思った。まあ序で触れてあるけれど、故人に語らせる形での自己弁護の書になったら本当に目も当てられないので。でもやはりここに描かれる子規の個性(そして存在そのものの)の強さからして、二人の間はそうだったんだろう、実際はどうだったとか余人が想像する余地はあるまいと思える。2020/12/01

もだんたいむす

5
子規と虚子の関係性を知るには良い本だが、この作者に小説家としての【特別】な才能があるようには思えなかった。読みにくい。2017/05/01

みずいろ

4
冷静な目線から描きだす、二人の俳人の姿。写生文なので余計な感慨は一切こめられず、事実だけがとてもドライに紡がれる。人間の汚い感情や壮絶な死もどこか淡々としている。しかしだからこそ一層味わい深くもあり、特に「死」の最後一行がとても良い。文学史上どんなに凄い人であろうとも、人間はしょせん人間である。偉業の裏にあった真実をありのままに、そこあった哀愁や嫉妬、慈しみも尊敬もそのまま文章にした傑作。化粧をしていない言葉には、木の香りのような心地良さがある。2013/12/02

euthanasia

1
死を前にして粘土で自分の似姿を造る子規には鬼気迫るものがあるが、子規の写生文がそのような極北の地点に身を置いてこそ初めて達成し得るような種類のものでもあるということに思い至って、日本近代が生み出したリアリズムの不気味さと過剰さに改めて震え慄く思いがした。 土がたにうつしかたどる我が顔の 少しゆがみて猶面白し2013/11/02

きつね

1
死に臨み書き続ける師と、師と文学から逃げ「商売人」として蔑まれるに甘んじる男。S≒子規の晩年から死までをK≒虚子との関係を中心に綴った三人称小説。Sを視点人物として心理にまで立ち入るところに、評伝にはないもの、死者をして語らしむという冒涜ならざる冒涜がある。書かぬ男は最後まで書く決意をせぬままに一篇は閉じる。しかし、師の霊魂が月夜の大空に動くのを凝視した男の仕草はーー病床の師が野心爛々と輝く眼で、己を中心として回転しつつある天地を凝視し続けた、あの仕草を、はからずも微かに拙く反復しているのではなかったか。2012/05/17

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