講談社文芸文庫
若い荒地

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 371p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984691
  • NDC分類 911.52
  • Cコード C0195

内容説明

戦後詩を先導した「荒地」の詩人たち―鮎川信夫、中桐雅夫、田村隆一、三好豊一郎、北村太郎、さらには戦後を迎えることなく歿した牧野虚太郎、森川義信ら…。軍靴響く閉塞した時代のなかで、自由なる詩精神を堅持した、彼ら“若き荒地”の青春群像を、当時の詩誌「LUNA」「LE BAL」「詩集」等を綿密に辿ることで、鮮やかに再現。戦前・戦中の詩史の新たな光をあてた貴重で異色な試み。

目次

一九二三年
不良少年の夜
非望のきはみ
冗漫且つ遠廻しな弁明の巻
三好豊一郎の禿頭
ペルセポリスの夢も
埒外の招待に
わたしの言ふことは変である
ランプよりも巨大な思ひ出の下で
最初の『死』の完成
『一九四〇年の春』
死人のやうに
英吉利よりもとほく亜米利加よりもとほく
Aの日記
Aの日記(承前)
審判 あるいはモナリザの失踪
『あはれな夢』
僕はもう言葉が聞こえない
橋上の人
座談会
解説

著者等紹介

田村隆一[タムラリュウイチ]
1923・3・18~1998・8・26。詩人。東京生まれ。明治大学文芸科卒。1939年、府立第三商業学校の同級生・北村太郎の紹介で、神戸の中桐雅夫編集の「LE BAL」に参加、鮎川信夫、三好豊一郎らを知る。43年、横須賀第二海兵団(武山)に入団。敗戦後9月に京都から復員。47年9月、第2次「荒地」創刊、2号まで編集人となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

無識者

7
エリオットを教科書に、既存の詩とは別のものを作っていこうと言う若い人たちの試みがすごいエネルギッシュである。鮎川信夫の「三好達治の義古典主義作詩法をただちにニセモノと感じたのも、あえて言えばエリオットのおかげである」という部分が印象的だった。自分の感性を信じていけるところがやっぱり詩人なのかもしれない。エリオットそのうち読みたい2018/10/15

misui

7
戦後詩を牽引した「荒地」の前身となった戦前戦中の詩誌を中心に詩人たちの群像を描く。モダニズムに影響されてスタートし独自の詩を展開していった輝跡が、暗い世相でありながら熱をもって迫ってくる。無軌道さと生真面目さはいかにも青春という感じで気恥ずかしい、でも彼らにしてみれば泥を啜るような日々だったのだろう。「時代の意味と個人的体験の意味とは、かならずしも一致するものではない。時代が暗ければ暗いなりに青春はくるおしい夢を孕んでしまっていて、私たちの精神は、誰にも攻略されない幻の築城術に熱中していた。」(鮎川信夫)2015/05/19

ロータス

2
歳を取っているためか、この本に出てくる詩人たちの詩も詩論も生き方も若くて青くて真っ直ぐで、それが読んでいてつらい。現代詩のことはよく知らないが、鮎川信夫や田村隆一らの詩はちょっとセンチメンタルすぎるきらいがあり、自分の好みではなかった。現代詩の歴史を知る上では格好の資料だと思う。2020/12/09

刻青

1
田村隆一の目を通した「荒地」前夜。言葉遊びを脱しないモダニズム詩が、森川、鮎川、牧野を皮切りに、徐々に音楽的に、一種の雰囲気を纏うのがはっきりと見て取れる。また当時の異常な雰囲気を、若き詩人たちがどう捉えていたかもわかり、非常に面白かった。言葉すら残らなくなる中で、詩はどう変わっていくか。鮎川の知と潔癖、激しさは、詩を急激に変貌させ、最後にはほぼ完成形である。田村はあと少し。牧野、森川のように「美しく発狂」するまで。 「僕には もう言葉が聞えない ただ 音だけが 河の流れのやうに 僕の胸を抜けてゆく」2022/01/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/476474
  • ご注意事項