内容説明
小説の中に表われる作家の分身―自身そのように小説を書いてきたけれど、それは、「私」という人間そのものでは、決してない。おさない頃の京都の記憶、日々の生活を楽しんだ鎌倉、親しい友との旅、出会い、そしてパリでの霊的体験―。書きつづってきた文章の中から四十篇を選び出してみた、ほんとうの「私」をわかっていただくために。
目次
魂の犬
ただ一人の食事
昔の弁当
柱の手垢
往復時間の夢想
幻のノルウェー
黄昏の驚異
家と私
教会の中のバッハ
パリのホテルの一室で〔ほか〕
著者等紹介
高橋たか子[タカハシタカコ]
1932・3・2~。作家。京都市生まれ。京都大学文学部修士課程修了。修士論文は仏語で「モーリアック論」。大学卒業後に結婚した高橋和巳の創作活動を支える一方、自らも小説・評論を書きつづける。71年に夫を亡くした後洗礼を受け、日本とフランスを往復しながら霊的生活と作家活動を送る。『空の果てまで』の田村俊子賞をはじめ、『誘惑者』で泉鏡花賞、『怒りの子』読売文学賞、『きれいな人』毎日芸術賞など多くの文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaoru
62
人生の後半からカトリック信者として生きた高橋たか子のエッセイ集。『テレーズ・デスケール―』に惹かれランド地方を旅した経験、遠藤周作や大庭みな子、ジュリアン・グリーンや埴谷雄高といった文学者との交流、信仰と自分について語っている。フランスでは「証言」が本当のことを語ることを意味するという記述。ボーヴォワールの自伝映画を見て「日本において徹底した自己表現がその女の魅力を構成すると人々の感じるようになる時代がくるかどうか…私は懐疑的である」と書いている。彼女の文章は明晰で美しい日本語であり、読み返すたびに→2021/11/07
瀬希瑞 世季子
3
高橋たか子の小説を読むにあたってのガイドとなるようなエッセイが多く収録されており、絶版が悔やまれる。2022/07/11
アメヲトコ
2
著者自選のエッセイ集。自己の内へ内ヘと向かう文章のスタイルがどうにも私には合わず。他者について語るIII部が一番すっきりきたというのはつまりは相性が悪いのでしょう。こればかりは仕方がない。2016/08/16
カオル
1
1か月かけて少しずつ読み進めた。フランスへの旅行記であり、宗教本であり、文豪交遊録であり…て感じ。時間があるときゆっくり読み直したい。2014/08/15
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