内容説明
市川団蔵、中村芝翫、中村歌右衛門、沢村宗十郎へのオマージュにはじまる歌舞伎・演劇論、深く影響を受けたラディゲ、コクトオ、ワイルド、ジュネ等の外国文学論、さらには、二・二六事件の青年将校・磯部浅一の遺稿や『葉隠』まで、三島の美意識に刻みこまれた人と作品を縦横に論じ、小説の美学と演劇への情熱溢れる二十七篇を収録。批評家・三島由紀夫の文業を精選した論集全三巻完結。
目次
古今集と新古今集
美に逆らうもの
変質した優雅
魔的なものの力
現代史としての小説
団蔵・芸道・再軍備
中村之翫論
六世中村歌右衛門序説
沢村宗十郎について
「班女」拝見〔ほか〕
著者等紹介
三島由紀夫[ミシマユキオ]
1925・1・14~1970・11・25。小説家、劇作家。東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『金代能楽集』等、固有な美意識で彫琢された作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、市ヶ谷陸上自衛隊東部方面総監室にたてこもり、割腹自決(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
99
つくづく「美」を愛した人だと感じさせられました。美意識に刻まれた人や作品を縦横に論じることで、三島の美学を見たような気がします。偏愛傾向はありますが、だからこそ三島は孤高の美の実践者として文学史の中で輝きを放っていたのだと思います。批評家としての三島はどこまでも精神と肉体と美という3つの要素を追い続けた文筆家だと言えるでしょう。三島イズムを全て見てきたことで、今後作品を読む目が変わるような気がします。2016/10/15
佐島楓
67
〈大学図書館〉三冊読了。明晰すぎる頭脳を持つのも苦労が多いのかもしれない。読んでいて疲れた。不思議なことに小説なら疲れないのだが。川端への文学的な言及はあるのかなと思って探りながら読んでいたが、さほど参考にならなかったのは誤算、しかし三島への理解は増した。2019/07/15
絶間之助
2
六世中村歌右衛門序説を読みたく、この本を読みました。私は晩年の歌右衛門しか見ていないのですが、猫背な姿勢、柔らかく動く手、輝く目が独特の雰囲気でした。舞台でも歌右衛門の周りだけは別世界のような。三島の言う、美とナルシシスムと悪の間然することのない複合体、金閣寺雪姫の孤独な愛の燃焼、冷たい情熱。なるほど、素晴らしい表現で感服しました。 これ以外では、葉隠とわたし、が面白い。武士道といふは、死ぬ事と見付けたり。愛読書だったらしく、心酔していることが分かります。それ以外の文は難しすぎて、着いていけませんでした。2014/06/08
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