内容説明
性の淵に沈んだ男女の悦楽と懊悩―夫婦の葛藤や不倫など、愛憎に彩られたさまざまなエロスの情景を描く十篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
24
このシリーズはいくつか読んでいて、今は出してないようだがこういうテーマ別の短編アンソロジーは面白い。何よりも知らない作家の短編が読めるのだし、既知の作家も新しい発見があるようだ。 全体的に家父長制時代のセクシャリティーを引きずった作品が多く、今も読めると思う作品が少なかった。坂口安吾『アンゴウ』はそれまでの安吾の違った面が読めて面白かったのだが、その他はいまいちだったような。野口冨士男『なぎの葉考』は短編の内容よりもモデル小説として若き日の中上健次の描写が面白かった。老作家から見ると現代の若者だったのだ。2022/10/10
kasim
6
苦手なテーマに敢えて挑戦。やっぱりこのテーマの昭和の小説は私にはキツイ。その中で、冒頭の坂口安吾「アンゴウ」がずば抜けて面白かった。戦争で焼けたはずの自分の蔵書を古本屋で偶然見つけた主人公が、戦死した親友と妻が不倫していたのではと疑い、その暗号を解く。息を呑むどんでん返し。「暗号」と「安吾」の洒落。解説は的確で良いです。2016/06/10
しも3
2
印象深いのは アンゴウ 坂口安吾、なぎの葉考 野口冨士男が秀逸でした。2022/11/13