講談社文芸文庫
朽葉色のショール

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  • サイズ 文庫判/ページ数 325p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061983199
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

森鴎外の娘である著者が父に纏る様々なエピソードを記す。姉茉莉のこと、父を訪れた人々の素顔、身辺の雑事を始め鴎外を敬慕してやまなかった太宰治のことや中勘助の詩について、永井荷風と著者との関わりなど、鍛えられた見事な文章で綴るエッセイ三十九篇。

目次

朽葉色のショール(子供と読書;冬の生活;蒲公英の穂と読書;勝敗;涼気 ほか)
鴎外から太宰まで(鴎外から太宰まで;津和野行;離脱;小倉と亡き父母;父のふるさと ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

45
「因縁」を再読。何でも無いなかに楽しみをみつけるという、父鷗外が大事にした姿勢。遠くにある何かのために、目の前のことをないがしろにしない。《目的》ありきの《手段》。哲学的な内容を含むこの話が、今のわたしに一番響いてくる。森鷗外の作品をよんでみようと思った。2015/11/08

45
小堀杏奴は、森茉莉の妹。藤島武二に師事し、洋画もよくした。夫は画家の小堀四郎。この段階で既に心惹かれ、さらにタイトルがわたしの気分を後押し。本を開くと、飾らない文体から、姉妹の共通点を感じるとともに、姉とは異なりつましく、愛情深い人柄が伝わる。内容は、父鷗外のこと、永井荷風のこと、自身の名前や生きる姿勢についてなど、多岐に渡り彼女の感性を堪能できるもの。今わたしが、考えていることと重なり共感できる部分も多く、大いに刺激をうけた。今後も愛読書となるであろう、燦々たる一冊。2015/11/07

shinano

12
14歳の時に父森鴎外を亡くしてからの貧苦と気苦労から、著者の生きることの意味への問いかけ、幸福への羨望はあれど幸福とは一体何をもって実感するのかの問いかけを裡に抱えながら、社会と家族との中で生活してゆく姿勢が書かれている随筆だった。文芸界にも尊敬された偉大な父の人間的崇高さが彼女の齢を重ねていくごとに消化されていっている。キリスト教をその教えから受け入れたのではなく、神父たちの人柄と痩せていない心に感化し、宗旨を受け入れていったところにも著者の人との繋がりを実感しようとする姿勢が奇麗だった。いい随筆集だ。2010/11/26

きりぱい

11
よかった。森茉莉の夢見るような独特さに比べると、普通さがいいというか家族との日常など身近に感じられて読みやすい。いつでもどこでも本を読んでいるけれど、杏奴が話しかけるとさっと本を伏せて相手をしてくれる父。邪魔をされたとうるさそうになんてしないのだ。退屈ほど悪徳はないとささいなことを楽しみ、実際いつでも父が楽しそうにしていたのは祖父の人格の影響であると、父との思い出から今の自分にある幸福を思ったり。娘の産後の世話など孫の世話に追われながらもうれしげな様子が伝わってくる。荷風とのエピソードもよかった。2015/06/24

うろたんし

1
 これも、茨木のり子のと同じく、裏表紙の鴎外の二文字に惹かれて。少し前に、鴎外の子どもたちの書いた文章から浮かび上がる父親森林太郎の像には息を呑む、みたいなことが言われているのを見て、子どもたちの書いたものを読みたいと思っていたところで。目の前のものに、いつも一生懸命でなくてはいけない。鴎外はその母より、祖父に当る森静男からはるかに大きな影響を受けて育ったと思っている。という著述には瞠目させられた。2013/10/04

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