出版社内容情報
【内容紹介】
政府高官の息子ニコライ・アポローノヴィチはテロリストから託されたいわしの缶詰の時限爆弾にスイッチを入れてしまう──爆弾がいつ爆発するかという緊迫感につつまれて、物語はスリリングに展開する。20世紀ロシア象徴主義の鬼才ベールイが、豊かな想像力を駆使して、混迷する現実の完全な抽出とその変革をめざした言語革命的実験小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イシザル
9
ユリシーズ同様、ラップのPVのように、言葉遊び リフレインを繰り返しながら、街を練り歩く。ロシア語だから英語圏じゃない英語圏じゃないとユリシーズは解らないじゃなくて作家や読み手の力量が差があるという需要と供給の証明だとおもう。2020/04/08
井蛙
4
ニコライがテロリストであるという時点で、名士である彼の父アポローンはすでに「死んで」いた。全く遅ればせに爆発したいわしの缶詰は(それもいわしの缶詰は、まるでそれ自身の運命を無理やり成就するかのように、他ならぬアポローン自身の手によって彼の部屋の中へと招じ入れられたのだった)、父の命を奪わなかった。それはまったく余計なことだからだ。それどころかその爆音はさながら福音のように怪しく立ち込めるペテルブルグの霧を晴らし、彼らを太陽の燦々と輝くエジプトへと連れ出したのである。ヨーロッパでは見失われようとしている→2020/07/11
地下道入口
1
霧と馬車の表現が見事。2020/03/30
nukuteomika
1
象徴や暗示に満ちた物語。最後の半端なカタストロフがなんともいえない2010/08/18
刳森伸一
0
一気に読んでしまった。物語の筋としては単純だけど、幻想的な雰囲気と錯乱したような文章で別世界の話のようにすら感じる。十分面白かったが、再読すれば、もっと楽しめるかもしれない。2013/11/27
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