講談社文芸文庫<br> 愛のごとく

講談社文芸文庫
愛のごとく

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  • サイズ 文庫判/ページ数 421p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061976146
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

【内容紹介】
自己中心的な生き方に固執する青年の下宿に土曜日ごとに現われる、かつて恋人だった人妻との異様な情事を通して孤独な青年の荒寥とした精神風土を描いた「愛のこどく」ほか、「演技の果て」「その一年」「海岸公園」「クリスマスの贈物」「最初の秋」を収録。戦後の変転の中で青春を生き、交通事故で早世した山川方夫の傑作選。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふくしんづけ

7
私小説「海岸公園」「愛のごとく」「最初の秋」創作「演技の果て」「その一年」「クリスマスの贈り物」と分類できそうか。しかし後者も根底はやはり私小説。前者三作は設定を共有している。続き物ととれるがそうでなくても成立する。置かれた状況は違えど、これは自分のことでは?と思わされた。主に家族という概念の捉え方。冷酷ながら、血の繋がりが一生を左右しようとしてくるのなら、それはグロテスクではないか。そして、他人に無関係でようとすること。人生に交錯してくるようなところがあった。しかし、繰り返しがすぎてちょっと重いかも。2021/04/10

nac

3
★★★★⭐︎2023/12/01

ken

2
主に私小説を収める。主人公に共通して見られるのは、他者への諦念と拒絶であるようだ。作品に表されるそれを山川の内面深くに醸成した大きな要因は、きっと家族だ。特に「海岸公園」は自己中心的な祖父と母との諍いを中心に、家族の相互理解の難しさを描いている。彼らへのアンビバレンスな感情の記述も鋭い。とかく家族は血の繋がりを大義名分として互いの距離を見誤ってしまう。離れたいのに離れられない。憎らしいのに求めてしまう。山川は作中で家族愛を「癒着」だと断じる。だけど、この人も深層的に家族を捨てきれなかったのだろう、きっと。2020/09/12

ササヤン

2
中学校の国語の教科書に使われた『夏の葬列』を読んで、高校時代に集英社文庫の『夏の葬列』を買ったのが、山川方夫との小説の出会いだ。その中の『煙突』、『海岸公園』は見ずじまいだった。 ただ、ずっと気にかけていた著者だったので、色々と新鮮だった。この人、ショートショートのイメージ強いけど、私小説も書いてたんだな、という新たな発見が。 文体はショートショートと違って、やっぱり高校時代と同じくやや難しく感じた。 山川方夫のテーマは、生死、家族かな。普遍的な純文学のテーマはやはり、芥川賞を受賞していなくても王道だ。2017/11/16

2
小学校の国語の教科書に乗っていた「夏の葬列」が読みたくて短編集なら入っているだろう、と思ったら入っていなかった!知ってる地名が多々出てきて、解説を読むとこの作者は実際に起こった現実に近いことを書くタイプなのかな、と感じた。けどそういう書き方っていずれ引き出しがなくなってしまうような気もするのだけれどどうなんだろう?2014/03/28

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