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内容説明
平家追討の院宣ならびに朝日将軍の称号を賜わり、生涯最良の日々を味わう義仲。だが、彼の得意満面の笑みも次第に歪みはじめる。牛車の乗り方ひとつ知らない田舎そだちだから、殿上づきあいは苦手だ。相手は老獪な後白河法皇。義仲の凋落は水島合戦から始まった。反撃の平家、背後から襲いかかる鎌倉勢、加えて院方―と義仲は四面楚歌。さすがの一世の風雲児も、流星の如く消えてゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
39
○義仲の人の良さと優柔不断が目立ちました。宇治川の先陣争いは平家物語でも好きな部分ですのでワクワクしながら読みました。義経と梶原景時の争いはすでに激しいなあと思いました。2023/04/12
Kiyoshi Utsugi
38
平家一門が都落ちし、その代わりに京に入った木曽義仲。 その義仲も鎌倉から来た源範頼、義経の軍に破れ、近江国粟津ヶ原で討死。 京に入った源範頼と義経が一ノ谷の戦いに向かうところまでを描いています。 10巻では9巻に引き続き木曽義仲を中心として描かれています。 特に木曽義仲と彼を取り巻く四人の女性である巴御前、葵御前、山吹、冬姫との間の描き方が非常によかった。 しかも四人ともすべて美女。 荒くれ者の武将というイメージが強かったのですが、普通に女性を想う一人の男でもあったというところがなかなかよかったですね。2022/06/08
ちゃいろ子
38
平家の都落ちも切ないものがあったが、太陽のように輝いていた義仲が味方を減らし、老獪な法王や公卿たちに翻弄され、酒に女に溺れて崩れていく様子がとても悲しい。 豪放磊落なようでいて実は繊細な面もある人なのかな。現代ではないので感覚は違うとしても巴がいながら葵や山吹とも関係を持ち、とても不実に見える。が、冬姫との純粋な恋は美しくもあり。 最期はあっけなく切ない。 そして義経。 やはり彼は天才的な戦術家だったんだなぁ。 義経と麻鳥夫婦の再会には感無量。母、常盤のその後の話が悲しい。 2021/11/12
シュラフ
34
木曾義仲が6万人の大軍を伴って入洛。京都という都は守備には適さない都市ということだろう。平氏一門は西国へと撤退していく。しかしながら、平家追討の院宣ならびに朝日将軍の称号を賜り、得意満面の義仲であるが、都の流儀に慣れぬまま次第に孤立していく。気がついてみれば6万人の大軍も、寝返りが相次ぎ、いつしか4千人程度にまで減っていた。起死回生の策を練ろうとするも、その甲斐なく義経の兵に討たれる。傍若無人とも思えた義仲であるが、やはり人の最期というのは哀しいものである。巴・葵・山吹の義仲の3人の女の運命もまた哀しい。2017/05/01
崩紫サロメ
24
木曽義仲の凋落から最期まで。新平家の義仲はいろいろな女性に手を出しては捨てて、不幸にするしかできないクズ男で、リアルに考えると嫌悪感しかないが、女性達のリアクションが非現実的(義仲に惚れ込む)なおかげで、ある種のファンタジーとしてその破滅をもの悲しく見送ることができた。リアリティの無さは時には大事、といつも思う。あと、新平家は登場人物間の伏線が多めだけど、みんな覚えてるのかな、みたいな(笑)熊谷直実と敦盛がニアミス、とかねえ。2019/10/26
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