- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 歴史
- > 講談社 吉川英治文庫
内容説明
保元の乱前夜、爛れた世の病巣は、意外に深かった。院政という摩訶不思議な機構の上に、閨閥の複雑、常上家の摂関争いの熾烈、その他もろもろの情勢がからみあって、一時にウミを吹き出す。―かくて保元の乱は勃発したが、「皇室と皇室が戦い、叔父と甥が戦い、文字どおり骨肉相食むの惨を演じた悪夢の一戦」であった。その戦後処理も異常をきわめ、禍根は尾をひいた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
101
祇園あたりまでは順調に進んだが、次第に誰が誰だか分からなくなってしまった。もう一度戻るか、このまま進むか。保元の乱の原因はつかめたように思う2022/12/10
ずっきん
62
『ほげんの巻』『六波羅行幸の巻』権力という摩訶不思議な毒を舐めた人間が、乱を起こす。入り乱れる権謀術数。保元の乱と平治の乱を経て、四世紀に渡る藤原の世に幕がおろされる。源平双方の人物造形が見事だなあ。義平と重盛の一騎討ちの迫力、義朝の無念さ、清盛の雄胆さ。彼らが踊る舞台の情景描写も素晴らしい。ただし、麻鳥の笛の音の対極にある、公卿のゲスっぷりも見事に描ききっていらっしゃるので、ウンザリしちゃって予定してた源氏物語を読む気が失せそう(笑) さて、頼朝と牛若の登場でこれからが本番。いざ、参ろうか。2018/11/24
ちゃいろ子
49
やはり一番印象深かったのは崇徳天皇が、保元の乱に巻き込まれ敗北し讃岐に流され、世を怨みながら最期を迎える流れ。 本来は雅やかで穏やかな方であったのに、出生の疑いから父である鳥羽上皇に疎まれ、、 讃岐に流れた後も、仏教に帰依し心を穏やかに生きていこうと努力していたのに、何度も裏切られ打ちのめされていく様子が悲しい。 そんな中、御所の水を守っていた麻鳥とのシーンが泣けます。どこまでも主を慕いお側にいようとする麻鳥、、、崇徳天皇が麻鳥のその心根に触れ過去の自分の静かな幸せを思い返す所も泣けます、、。2021/03/11
かっくん
43
悪左府頼長の企みにより保元の乱が勃発。平家と源氏の内部がそれぞれの陣営に分かれて骨肉の戦いを繰り広げる。悪左府頼長は敗れ、藤原信西が権力を握る。しかし乱により力を得た平家と源氏の争いが藤原氏の政治に終止符を打つことになる。平治の乱である。平清盛が権力を握る目前までを本巻では描いている。流れに勢いがあり、講談のように流麗に物語っていくこの技術よ。2024/06/23
金吾
42
○保元・平治の乱が始まり面白くなってきました。忠正への処置を悩む清盛の部分がシリーズにおける清盛の人格を表しているようで印象的です。また貴族が武士を押さえているので文民統制が出来ている時代ですが、素人が軍事に口を出したために破れるという部分はシビリアンコントロールとの違いを感じます。2023/04/02