内容説明
「かばんは、かばんらしいくらしがしたいよ。」かばん屋のショーウィンドーにかざられたトランクが、ある日大きな声をあげました。そして、ゆめみるようにいいました。「わたしは、いっぺん電車にのってみたいのです。飛行機にも船にものってみたいのです。中にいろんなものをいれて、旅にでたいのです。」そこでかばん屋の一郎さんは、トランクの中にたくさんのかばんをいれて、旅にでることにしました。小学校2、3年生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
56
優しい夢のような物語。腕はいいのに、お客が来ないかばん屋さん。ある日、売り物の古いトランクが喋り出します。「そんなら、あなたと僕とで旅に出ましょう。」…わくわくする展開。かばん屋の一郎さんと学校の先生のゆき子さんの関係、そしてトランクとネコの関係も微笑ましい。悲しさが漂う作品が多い安房さんですが、今作は優しさと愛情に溢れた世界でした。2022/09/19
ぶんこ
41
優しくて可愛らしいかばんやさん。町外れのかばんやさんは、腕はいいのに売るのは下手。ある日大きなトランクが話しかけてきて、売れないかばんを詰めて一緒に旅に出ようと。そこでは飛ぶように売れ、空になったトランクには水仙の花束を詰めて帰りました。ショーウインドウに花を飾ると女性が訪れてバッグを注文。小学校の先生をしているゆき子さんでした。仲良くなって結婚した2人と、ゆき子さんが連れてきた猫との生活。トランクも一緒にかばんやでの楽しい日々。ハリネズミ用のランドセル、春風さんのポシェット。どれも心がこもっていました。2022/10/03
かお
13
北の町の腕は確かなんだけど、あんまり売れないカバン屋さんの短編集。 ショーウインドウに飾られ続けていた、喋る事が出来るトランクと旅に出たことから、カバン屋さんの青年は運が良くなってきます。 始めから終わりまで、優しい空気が流れています😊 表紙の絵にもなっている、「春風さん」のポシェットを作る話が良かった🎵 「春風さん」は100キロも走れて、7番までいるのかぁ。2022/04/15
黒うさぎ
6
図書館の書庫から、わざわざ探し出してもらった大好きなお話。 つやつやの黒い革に銀の星、夜空のハンドバッグ、欲しいな! 春一番の女の子の話はとても印象的。 花のバレエシューズで駆け抜けるなんて! 日々の美しい風景が、不思議と物語へ自然に溶け込んで、とても優しい。 「かぎあなに星の光をさしこめば、とびらは、かんたんにあくのです」 知らなかった!そうなのね!と納得してしまうくらい自然に、自然に不思議が溶け込むのです。2014/07/17
食パン
0
小32020/01/11