内容説明
異国での音楽生活を通して描く人生の冒険。ひたすらヴァイオリンを弾き続ける中で織りなされる人間模様、喜びと悲しみ。自然と人間と音楽が奏でるハーモニーの中で味わった生きる実感とは。美しい北欧の四季を背景に、著者が異邦人の楽師として生きた鮮烈な日々の思い出を綴るヒューマン・ファンタジー。
目次
プロローグ ポルカで踊れ!
1 楽器を弾くという〈恩恵〉
2 サウナの音楽教室
3 民族音楽の仲間たち
4 集まれ、ペリマンニ楽師よ
5 ヴァイオリン弾きの美少女
6 市オーケストラの誕生
7 東部フィンランドの大集会
8 揺りかごから墓場まで
エピローグ 音楽を通して
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
23
小野寺サーガ第5弾。イーサルミでヴァイオリンを再び手にした小野寺氏は、民俗音楽師ぺリマンニたちとともに演奏活動にのめりこんでいく。自分が受けたクラシックの正統教育と、民衆のための音楽を追求するぺリマンニの価値観のはざまで悩みつつも、初の外国人ぺリマンニとして認められる。伝説のぺリマンニとともに演奏したり、輝かしいばかりの美少女から想いを寄せられるという人間関係もさることながら、ぺリマンニたちの古い楽器に、シュタイネル、クレモナ、マッギーニ、ストラド!といった名前がちらほら出てくるのもスリリング。(↓)2020/06/05
よきし
1
プロローグだけ読むつもりで最後まで読んでしまった。フィンランドのペリマンニと呼ばれる民族音楽でヴァイオリンを弾く一人の日本人の自伝的物語。圧倒的な寒さの極北の国の小さな町で、ひたすらに激しく演奏し、人々を踊らせるペリマンニ。その音楽の世界に気がつけばどっぷり入ってしまったマコトとのさまざまな人と音楽との物語。しかし、アンネリ・・・すごい子だね。読んでてドキドキしてしまいました。こんなトキメキいつぶりってぐらい。大好きな物語です。それだけに文庫版あとがきにショック。人生、本当に先がわからないものですね。2009/12/04
りすてん
0
フィンランドつながりで読んだ本。ヘルシンキからさらに500㎞北の農村に住み、ペリマンニの仲間には温かく迎えられ居場所を見つける著者だが、クラシックのヴァイオリン奏者かつ教師であるインキネンや日本人の作曲家であり著者のヴァイオリンの師でもある友人、さらには妻や娘にまで理解されない、彼らからはクラシックよりも一段低いものとみなされるペリマンニの音楽。深くは語られていないが、ペリマンニにのめりこめば混むほどに、家庭内での孤独が深まっていったのだろう。 そして著者自身もクラシックからも完全に離れることはできない。2013/02/01
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- 和書
- 江戸前の石工窪世祥