講談社文庫<br> 群青の湖(うみ)

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講談社文庫
群青の湖(うみ)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 439p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061855519
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

琵琶湖のほとりにひとり嫁いできた瑞子は、旧家の重みと夫の背信から、幼い桜子をつれて生まれ育った四谷に戻る。かつて美しい染めや織りの技を競いあった仲間にむかえられ、瑞子は群青の湖の永遠の神秘を、その片鱗でもよいから一枚の布に止めたいと願うのだった。精魂をこめ格調高く織りあげた傑作長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みなみ

13
主人公の瑞子は東京から近江八幡の旧家に嫁ぐが、夫に裏切られて東京に戻り芸術を志す。旧家の窮屈な生活や夫の背信という筋立てはありがちといえばそうだが、東京に帰った主人公が芸術家として開花していくのが芝木作品らしいところだ。妻となる女に出来婚をさせた潮が浮気をして、また他所の若い女性を妊娠させるのがなんともクズな匂いがする(苦笑)わからなくもないが。潮本人よりも潮の家族のほうがキャラクターが強い。特に潮の兄の玲は作品の前半で痛烈な印象を残す上に、主人公の瑞子の芸術のモチーフになり続ける。そこがまた面白い。2024/05/29

アルプスの空♪

12
読み終わって、一つの人生を自分自身も生き抜いた"感”が残ります。芝木作品は先の2作品も仕事を持ちながら強く生きる女性が描かれています。芝木作品あまり本屋さんに置いてませんが絶対お勧めです!!!2010/06/30

ぶんこ

11
大学で染色を学び、染絵の世界での自分の限界を知り、結婚、離婚と人生の荒波を乗り越えていく過程で、織物の世界に入っていく瑞子が主人公です。東京もんの主人公が、近江八幡の旧家に嫁ぎ、古いしきたりや、家付きお嬢様のお姑さん、結核療養中の義兄といった人々との生活がありました。夫の裏切りから、幼い子を道連れに自殺未遂を経て、元の染色の世界に戻る。琵琶湖が舞台となっていて、色を求めて草木を採集し、糸を染め、機で織って、自分の世界を表現していく、なんて、魅力的な世界なんでしょう溜息ものです。

タツ フカガワ

9
初読みの芝木好子。乙川優三郎『ロゴスの市』で、主人公の翻訳家が「なにが美しいといって、これほど無駄のない端整な文章は初めて」と絶賛していたのがこの作家。東京育ちの瑞子が琵琶湖近くの旧家に嫁ぐ。だが古い因習や人間関係に縛られたうえ、夫の裏切りに家を出る。苦い結婚生活を忘れようとするが、義兄の看病時に見た琵琶湖の深い湖面の色が忘れられない。その色を抱えながら、瑞子は染織の道を目指す。彼女の葛藤や苦悩、染色・機織りが細やかに描かれる物語に何度か目が潤みました。なにより、美しい文章を読むこと自体が心地良かった。2017/04/19

yasumiha

8
夫に裏切られ、姑のいびりに一時は娘と共に死を覚悟したが、染織に生を見出し、強く歩み出した瑞子は救われてよかった。くさぎ、梔子、福木などの植物から染料を生み出す描写も浅黄色、藍色、緋色、瑠璃色など自然の色の美しさが目に浮かび、染色の奥深さを感じた。30年程前に余呉湖と奥琵琶湖の湖岸へ行ったが、今思えば湖面は青色と言うより正に、今にも吸い込まれそうな濃い群青色がぴったりな感じでした。上品で美しく、しなやかな芝木好子氏の文体は好きだ。2021/03/07

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