内容説明
ニューヨークでVIPを乗せた旅客機が墜落。現場からはソ連製の毒ガスが発見された。モスクワではパイプラインが爆発…。デタントのうねりが世界を覆い、米ソ日で軍縮条約が結ばれようとしたとき、平和に挑戦し、冷戦の復活を目ざす巨大な陰媒が進行しつつあった。圧倒的迫力の第36回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
4
江戸川乱歩賞受賞作全作読破を目指す者に大きな障壁として立ちはだかるのが本書だろう(ちょっと大げさかな?)。なんせ全編見開き2ページは文字で真っ黒に埋め尽くされ、乱歩賞のイメージとは程遠い、アメリカでのテロ発生を主体とした政治とスパイの絡むエスピオナージュだからだ。私も読了時は達成感というより徒労感を感じた。今なお思うのは、本作は乱歩賞に咲いた仇花だったという事だ。2009/03/27
もりの
3
江戸川乱歩賞っぽくない2022/01/30
MIKETOM
2
第36回乱歩賞。これはねえ、風呂敷を広げ終わる中盤までガマン出来るかどうかが評価の分かれ目だと思う。自分自身、途中で読むのがシンドクなっていた。しかし、広げ終わった後に畳む作業が始まるとがぜん面白くなってくる。広げるだけ広げたんだからその反動は大きいね。作者自身、回収作業は楽しかったんじゃないだろうか。もっとも、謎の組織の正体とテロの動機はかなりマンガチックだけど。なんでこんな設定にしたんだろう。もっとリアリティのある理由づけなどいくらでもできると思うんだけどね。これから読む人は極力ガマンしてみてください2016/09/11
アヴィ
1
広義のミステリーという言葉をどのくらい広く定義するかが問われた乱歩賞受賞作。日本人は政府関係者がほんの少し出てくるくらいで、ほとんど外国を舞台に外国人による国際テロを主軸にした謀略物。乱歩賞は本格ミステリー1択とはいわないまでも、さすがに本作の受賞は当時でも批判がかなりあった。実際本作の受賞以降乱歩賞は更に間口が拡がりミステリーといえるかも怪しい作品を排出することになるが、それはまたそれらの受賞作の話。そういう意味でターニングポイントとなった受賞作ともいえる。2025/02/24
コマンドー者
1
乱歩賞受賞作だが、完全な謀略国際サスペンスもの。冷戦下の体制を舞台にしているため一見今から読むと時代遅れのように捉えがちだが、劇中のソ連をイスラム国家と読みかえれば、本書は見事に9.11事件以後の国際社会の動静を予見した優れた先見性を持った作品だったと再評価されるべきだろう。90年の時点でマンハッタンに航空機が墜落する大規模テロを描いているのは何と言う予見性。難解そうに見えるがハリウッド大作っぽい展開で進み、意外に娯楽性にも富んでいる。2019/04/20
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