内容説明
隅田川の川面に吹く心地よい春の風。船にゆられて墨堤のお花見を満喫した後は深川で牡丹、谷中で蛍を愛でる。せわしない現代の東京から、一気に160年前の江戸の町にタイムスリップ(転時)した中年男と意気で気風のいい芸者の大江戸遊覧紀行。綿密な考証で江戸に遊び、江戸に学ぶ“大江戸”シリーズ好評第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
30
再読:シリーズ三作目。前回、転時能力が弱まり、いな吉の危機を辛うじて救って現代に戻った速見は、ある夜、涼子との交わりの間にいな吉を幻視し、再び能力を取り戻す。こうなると出張がちな涼子の目を盗んでいな吉との逢瀬を繰り返す今回のコンテンツは江戸で舟に乗って墨堤の桜、深川の牡丹、亀戸の藤、谷中の螢、両国の花火、待乳山聖天の月見、雑司ヶ谷の鬼子母神、と盛りだくさんの上に現代では涼子との色模様を楽しむ無双ぶり。技術者的な視点からの現代文明批判も痛烈で、少子化の原因も探らずに小手先の政策を打つ政府への目も厳しい。2024/10/31
秀玉
15
シリーズ4巻目の大江戸仙界紀を読み、この3巻目を購入し読む。おもしろいが、こんなうまい話あるのか、なあんて現実を感じてしまい、すこし引く。江戸情緒の表現はうまい。テレビ映画としても一作だけ作られたが、そちらの配役もぴったりだ。江戸時代の愛人は「いな𠮷」という二十歳の芸者。身長は140㎝。この娘を180㎝の主人公が抱く。ちと違和感。江戸の人は身長が低いとしたのだがせめて150㎝にして。当時日本の人口は3000万人、これぐらいが日本にはちょうど良いとの説明に納得。読んでいて本からダニが出てきてドン引きした。2023/09/28
TheWho
13
科学評論家の主人公が、文政5年(1820年)の江戸時代にタイムスリップしてしまう騒動を描いた大江戸シリーズ7部作の第3弾。再び時空を超える能力が復活した主人公は、これまでも増して現代と文政年間との行き来をし、隅田川堤の桜見物、木場永代寺の牡丹、谷中の蛍、両国の川開きと花火、三股での月見等々の江戸の四季折々の風物を楽しみながら、現代と江戸時代との文化・文明比較論が前作に増して炸裂している。そして現代と江戸の女性との妖艶な閨の絡みの描写が次作の展開を暗示している様であった。次作が楽しみです。2016/07/12
マッスンロール
5
石川英輔の大江戸シリーズ第三弾。1980年代から江戸時代にタイムスリップ出来る能力(時転能力)を身に付けた中年男性が、江戸では十九才の芸者を抱き、現代では三十代後半の美人妻を抱くというのがメインの話。第一弾の「大江戸神仙伝」では脚気薬や時間貿易の話もありストーリーに面白味があったが、こちらはそれが無く、文化と生活においての江戸懐古と現代批判の部分がとても多くを占める。それが作者の考えなのか主人公の考えなのかは不明。どうも作者は主人公を自身の分身のつもりで書いているのではなかろうか。2020/05/18
おかめっち
3
江戸の人達が遊びに行く先。今でもまだある。 江戸は日曜日が無くていいね。2023/10/18