内容説明
「日本人は酔わないと、本音を出さないからねぇ」と新宿区役所通りにスナック「エポペ」を作って、蝶ネクタイでシェーカーをふりながら神への信仰を説き続けるネラン神父。遠藤周作氏の小説「おバカさん」のモデルにもなったユニークな経歴の持ち主が日本と日本人についてユーモアたっぷりに綴るエッセイ集。
目次
わが小説のモデルについて
変哲もない生い立ち
日本での日々
スナック・エポペ
キリスト教とはなにか
ニッポン、天国と地獄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奏市
12
微笑ましい内容だったり、考えさせられる内容だったりで面白かった。遠藤周作先生の小説『おバカさん』のモデルになったフランス人神父の随筆。軍人を目指していたエリート青年がキリストの声に導かれ神父となり、長崎へ来日し、東京で大学生の世話、講師をする。そして60歳になり以降は学生ではなく社会人に宣教しようとバーを開くところが凄い発想、バイタリティ。たしかに酒が入らないと日本人は本音を言わないか。フランスで使われるラテン語の諺「in vino veritas(真理は酒とともに)」も理由と。いい諺。教養の深さに敬服。2021/10/24
sabosashi
8
(1) この三日間というもの、この本をじつに愉しく読ませてもらった。ややくどいような文体にも特徴があるが、ニホン語に精通した著者の性格そのものが伝わってくるような語り口。本を読むことの醍醐味はこんなところにあるのではないかと思わされた。 (2) 著者はそれなりに数奇な道を歩んできたが、戦後まもなく来日し、ユニークなカトリック布教活動をおこない、その軌跡はおおいに振り返ってみられる価値がある。 2016/06/13
しょむ研(水野松太朗)†選挙マニア!?
4
歌舞伎町、新宿区役所近くにあったバー「エポペ」創業者で、バーテンも務めていたカトリック司祭ネラン神父の自叙伝。「日本人は飲まないと心を開かない。だから飲める場を作った」という発想は、飲酒喫煙御咎め無しのカトリックならでは。「エポペ」は酒抜きでも楽しめる良い店でした。飲み明かしたかった程ですが、閉店してしまったのは非常に残念。役割は全国に数箇所ある「坊主バー」(僧侶がバーテンを務める)に移った?2011/05/24
Sumiyuki
2
くだらないエッセイを期待していたので、面食らった。バカではなく、おバカさんだから当たり前か。宣教師、おそるべし。第二ウィザードセブンビル四階。2018/06/26