内容説明
妻の臨終に間に合わなかつた私は、病室でひとり遺体に向かい、連れ添った三十六年の礼と詫びを言ううち、ふと遺髪を思いつく。頭髪?いや、夫婦ならもっと秘めやかで適切な部分がある。実行した結果、周囲の追及、批判をうけたが、サラリーマン小説で一世を風靡した者者の軽妙酒脱な、成人むけ好エッセイ。
目次
わたしの畑であるあなた
空気さんよありがとう
パイプカットを忘れて
髭は染まった
貴重な記録
大は小をかねない
洩らしながら走る
花嫁は北側
丁字帯のナプキン
総理とカケ
サービスがハレンチになる時
喉仏の出ている美人
私立探偵はいつも二人
天罰覿面とはこのこと
白いキスマーク
コとマを逆にした
娘が欲しい
キスマークは消えない
夢のモーツアルト号
キスの味は苦かった
愛しき遺髪よ
長い長い結婚披露宴の祝辞