内容説明
外食産業の覇者をめざした男の野望と情熱。私大卒業まぎわ、倉原礼一は卒論を破り捨てた。自分は一流の人間でなければならぬ。私大卒の資格はいらない。野望は福岡に端を発した。レストラン「レオーネ」のチェーン化に奔走する倉原。一方首都圏には沢兄弟の「サンセット」が進出。倉原は首都圏決戦を挑んだ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
42
ファミレス産業のロイヤルホストとスカイラーク(ガストなど)をモデルとした2社の、特に高度経済成長時代の熾烈な戦いを描いた企業小説です。どのように、会社が大きくなり、そして全国各地にチェーン展開されていったか興味深く読めました。馬車馬のように猛烈に働き続けているという感じで、外食産業は改めてキツそうだなあと思いました。辞めていく人も多く、最近、ちまたで言われているブラック企業なんじゃないかと、何か個人的に別の視点で見ちゃいました。とりあえず、創業者達の野望、熱気が非常に伝わってくる一冊でした。2014/09/13
なないろ花色(はないろ)世界はひとつ
40
日本の外食産業を切り開いた2大ファミレス(外食)企業「すかいらーく」と「ロイヤルホスト」がどのように今みたいな巨大な飲食企業グループに成長していったのか?両者の誕生~成長期を丹念に描写してます。私を生まれた時から知ってる飲食店経営の叔父さんが高校生になった私が本好きなのを知って勧めてくれた本。「ビジネス小説なんておじさん臭いからやだな」って避けてた城山三郎さんが凄く巧い小説家だったのが良く分かり初読時の興奮が今も残ってます。昭和20~40年代の戦後の匂いが鮮明で今読んでも凄く面白い物語。再版希望イチオシ!
大奥のじぃ
24
1970年代初頭に台頭を果たした、ファミリーレストライチェーン。その代表格でもあるロイヤルホストの創業者江頭会長、すかいらーくの横川さんの自伝としてあまりにも有名な本作。壮絶な食との戦いの姿が「残さず食べる。」に表現され、まさに「業苦」と呼ぶにふさわしかろう。アメリカへの羨望の想いが現実化していく様が描かれる。外食産業の誕生秘話がちりばめられる。そしてこの新産業を引っ張る機関車のようなアナログでバケモノじみたリーダーシップが外食業界を牽引したんだ。2019/08/28
aponchan
13
少し前の日本における外食産業を描いた小説。解説にもあるが、ロイヤルホストとすかいらーくをモデルにしたであろうという城山作品。日経新聞リーダーの本棚で紹介されていたことをきっかけに読了したが、ロイヤルHD社長が挙げていたところも現実味がある内容と思った。両社創業者のタイプの違いが際立っているが、かなり極端であることは否めず、創業者の激しさに驚かされる。古い本だが、面白かった。2019/03/31
まつうら
7
企業小説はいろいろと読んできたが、まだ知らない外食産業の話を城山三郎が書いていると知り手に取った。レオーネの倉原(ロイヤルホストの江頭匡一)は、従業員の反発や裏切りにあいながらも、持ち前のリーダーシップで会社を牽引していく。これに対して、サンセットの沢三兄弟(すかいらーくの横川兄弟)は、当初からチェーン店化とセントラルキッチンを意識し、三兄弟を中心に和を重んじた合理的経営を目指す。対照的な両者がとても興味深い。 いま、外食産業は長期低迷と言われるが、倉原ならどんな手を打つのだろう?