内容説明
奇妙な古書店で手に入れた曰くつきのミステリ同人誌には怪異が宿っていた。見世物小屋から消えた赤ん坊/残酷で屈折した高校生らが鏖殺された事件の恐るべき記録ノート/無惨に切断された首が招く無人島の殺戮。本格に徹した幾多の謎に現実は絡めとられ、身の毛もよだつ終幕が襲う。気宇壮大なミステリ曼陀羅。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
作家/編集者。『ホラー作家の棲む家』(講談社ノベルス)でデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
47
文庫版と展開が異なるという情報を得て文庫版の記憶と比較しながら読み比べてみました。高村薫さんのように同じ本でも内容が別のものになっているということはありません。ただ、会話に含みを持たせていたり、言動の順序が入れ替わっていたり、怪奇現象的事柄や強調点をフォントで効果的に演出したりという違いが発見できます。ただ、本自体の秘密は文庫版を読んだ方が分かりやすいです。そしてラストの怖さは、ぷつりと途切れる文庫版よりは、永遠にループするようなノベルス版の方が怖かったです。そして挟み込まれるミステリネタに思わず、ニヤリ2013/10/08
海月
26
作中作の謎を解明しないと怪異に襲われてしまう、という設定が怖いけど面白い。タイムリミットが迫る中で展開される推理は、とてもスリリングでハラハラさせられます。混沌に満ちた結末は評価が分かれそうですが、ホラーとミステリを融合させた作品として良く出来ていると思います。2014/03/16
TANGO
25
図書館本。初三津田作品は、狐につままれたような読後感。ホラーとミステリー、どっちもあわさって、首筋がゾワゾワする。民族学的な描写は好きなんだけど、好みからいえば、今一つ入り込めなかった。2014/03/27
shi-
13
ホラーと謎解きが対になり七篇。 長かったぁー。読み切ったー。 コンスタントに読みたくなる三津田さん。 今作はホラー部分のが面白かった。2019/06/24
sk4
13
ミステリー+ホラー要素。作中作が短編でとても読みやすかったが、ラストは予想外。ただ、途中途中で(あれっ?)と思うこともあって、ラストの伏線と納得。ガンジーは、『神様はみんなの心の中にいる』と言ったけど、『幽霊はみんなの心の中にいる』とふと思ってしまった。フィクションは、人間が想像しうる全てのことが実現可能である。2012/04/05