内容説明
昏迷きわまる現代に、旧約聖書は三千年の時を超えて何を語りかけるか。ニヒリズム、愛、終末等の主題のもとに旧約から24の断章を選び、ニーチェ、キルケゴールら数多の解釈、思想史を渉猟しつつ、新たな読みを提示。時に芸術の内に旧約を見、時に旧約からエイズや援助交際等、現代が抱える諸問題をも考究する。碩学が現代に甦らせる旧約の思想世界。
目次
隠れた神―イザヤ書四五章15節
ニヒリズム―コーヘレス書一章2節
偶像禁止の根拠―出エジプト記二〇章4節、申命記五章8節
創造―創世記一章26‐27節
愛児の献供(哲学者の解釈―創世記二二章1‐2節;地平の融合―創世記二二章14節)
沈黙―イザヤ書六二章6‐7節
知恵―創世記三章4‐5節
他宗教との関係―出エジプト記二〇章2‐3節、申命記五章6‐7節
「宗教」批判―サムエル記下一二章24‐25節
罪と赦し―詩篇五一篇5‐6節〔ほか〕
著者等紹介
関根清三[セキネセイゾウ]
1950年、東京生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。ミュンヘン大学よりDr.theol.旧約聖書学、倫理学専攻。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授
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感想・レビュー
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優希
39
旧約聖書は3000年の時を超えて何を語りかけているかが論じられています、断片と共に哲学の解釈や思想史から考察されることで、現代の諸問題が垣間見れると言って良いでしょう。神の時代から現代に通じている事柄は数数多なのですね。2022/02/02
xin
2
キリスト教的立場と倫理的な立場から旧約聖書の一節を取り上げてその思想を読み解く本。何か新しいことを知ろうとするよりも自分の頭で考えながら読むべき本。2015/12/21
ひだりかわ
1
旧約はあまり学術的な解釈を読んだことがなかったけど、面白かった。「還元」から「回復」、もしくは「脱構築」から「意味の再興」と表現されている、テクストを批判的に検討して真意を探り、その後あらためて意味を見いだす手法は、無反省に信仰するよりずっと好感が持てる。しかしもともとキリスト教雑誌の連載だからか、最後には評価されるという、結論ありきという感もあるんだよな。。それぞれのテーマはやや短く、もっと詳しく読んでみたいとも思った。特に面白かったのは、愛と愛の秩序のところかな。2011/06/21
bossa19
0
現在のキリスト教やイスラム教的世界観を作り出した聖書には何が書かれているかを知りたくて読んでみたが、実際は「聖書学」のしかもかなり瑣末な話が多く期待はずれだった。聖書のテクストをどのように解釈する「べき」かについて論じられても、個人の宗教観の押しつけなだけで、現在のキリスト教/イスラム教社会をどう理解するかにはつながらないだろう。聖書を「外から」見て論じているのではなく、キリスト教の中で「神の教え」とはなにかを論じている宗教書として理解した方が良く、最後の方はかなり退屈になってしまった。2005/08/18
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