内容説明
鳥羽・伏見の戦いで幕を開けた戊辰内乱は、否応なく当時の社会全体を巻き込み、あらゆる身分の人びとに日和見を許さなかった。内乱の当事者たちはそれぞれの正当性を喧伝し、彼らの支配を受けることになる人びとは、時代が佐幕から勤王へと移りかわるなかで立場を表明することを迫られた。みずからの拠るべき正当性を探し求める者、保身のために立場を翻す者、混乱に乗じて地位の上昇を図る者―、新出史料を活用しながらさまざまな思惑が交錯する内乱期の社会像を描出する。
目次
第1部 「官軍」の正当性(「官軍」と王権の表象;公家の位置―鷲尾隆聚を中心に;榎本軍首脳部処分問題にみる「朝敵」寛典の論理)
第2部 旧幕府抗戦論の限界(旧幕府抗戦論の正当性;堀田正倫の上京―藩士の日記を素材に;「朝敵」藩の恭順理論―伊予松山藩を事例に)
第3部 社会集団の欲求と草〓(ぼう)隊(神職集団の武装化;草〓(ぼう)隊の上昇志向―下野利鎌隊を事例に
地方大社の勤王運動―香取神宮尚古隊)
第4部 地域の葛藤(関東農村の佐幕的状況―上総国を中心に;旧旗本阿部詮吉郎の朝臣化と知行所―農兵隊の動向を中心に)
著者等紹介
宮間純一[ミヤマジュンイチ]
1982年、千葉県生。2012年、中央大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。千葉県文書館嘱託職員を経て、現在、宮内庁書陵部研究員および中央大学兼任講師、立正大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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