内容説明
ファーブルは個々の虫たちの詳細な観察によって、生命の営みの不可思議を探究した。多様な種の一つにすぎない人間の本質は、進化論の呪縛の中で生物を記号化し、遺伝子やホルモンを道具化した今日の生物学ではなく、ファーブルの視点によってのみ捉えられるだろう。博物学的アプローチの復権を主張した名著。
目次
帰ってきたファーブル
今、なぜナチュラル・ヒストリーか
新しい時代の生物学
近代の科学技術とは何であったのか
過渡期としての人間
赤の暗黒
動物行動におけるア・プリオリ的なもの
フェロモンの神話
動物の生態にみる「愛」
動物学から見た世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ik
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「要するに、動物の世界、いやもちろん植物も含めた全生物の世界でわれわれが見るものは、脊椎動物、哺乳類、人間へと向かう一つのベクトルの上での進歩あるいは停滞ではなくて、ベクトルでもスカラーでもない、パターンの相違なのである。 このことは、すでに古くレヴィ=ストロースが、人間の社会についていっている。しかし、その後一般の世界に生じた認識の変化は、更新国という言葉を発展途上国と言いかえる程度のことにすぎなかった」 pp.207-2082015/05/09
黒い森会長
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ラストの「動物学から見た世界」が白眉。「進化論」が難しかったのは「適応」の概念の曖昧さにあったのか、と確認。 前半のエッセイでは、ピンポイントな批判から著者の意図を誤解しそうなのだが、ラストの長文のエッセイで、論点が明確になる。 著者は、エッセイも講演も面白い人だった。2012/11/26
へのへのもへじ
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「典型思想というものは、いつもスターリン的なのかもしれない」(p.176)。Yes!!!!2011/06/01
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- 和書
- すごいソロ整体