出版社内容情報
脇本 平也[ワキモト ツネヤ]
著・文・その他
内容説明
宗教学とは何か。これについて本書は、次の三つの観点から考察する。一つは、事実を客観的に取り上げて主観的な価値判断を避け、二つは、宗教を人間の生活現象の一局面として捉え、三つは、特定の一宗教ではなく複数の多宗教を資料として取り扱う。変幻自在の怪物のような世界の宗教現象を、見事なスタンスとバランス感覚を生かして、社会的人間として必要な宗教の基本知識を詳述した待望の入門書。
目次
1 宗教学の立場と分野
2 宗教の原初形態
3 科学・呪術・宗教
4 宗教の諸類型
5 宗教の構成要素
6 宗教的実在観
7 宗教的人間観
8 宗教的世界観
9 宗教儀礼
10 教団と社会
11 宗教体験と人格
12 宗教の機能
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
キリスト教でも仏教でも、宗教というなら共通して備える構造やパターンというものがあり、多様に見える内実も客観的に見ればある程度数が絞られた類型がある。人間の営みとしての宗教の姿を見事に語る優れた宗教入門。起源論から宗教と社会の関わり、宗教独自の世界観に心理的影響まで幅広く紹介し、社会常識としての宗教観が身に付く。諸学説を適切に整理し、バランスよく取り上げている中庸さが強い魅力であり、無理に分かりやすくするために内容のレベルを下げてることもないのに、一般的な感覚のままで読めるのもマル2014/10/11
里馬
12
素晴らしい纏め上げ!宗教史・宗教哲学・宗教社会学/心理学、これらを分解+縫合しつつ、ゆっくりじわりと「学問」としての宗教を啓示。僕は無宗教者だったけれど、他宗教者になれたらいいなあ、とぼんやりと考えてしまいました。勿論、一つの宗教を極めるのが困難なのに、幾つも手を伸ばしてしまうなんて莫迦げている。と言われてしまいそうですね。。。2011/02/27
みき
10
はじめはラジオで、その書き起こしが雑誌にのり、最終的に一冊の本にまとまったものであるので、語りかけるような口語調でかかれているのが説教的で読みやすかった。読み始めると、優しくてうれしい、となる。人を宗教へと向かわせるエネルギーを、いのちとすること、また把握しきれない超越的な物事の意味付けとして宗教が機能すること、という結論は、超越的であるから完全には言えない、という哲学的な神に対する結論と循環していておもしろい。2021/05/30
はむ
7
数年前に読みかけて挫折していたが今回読了。宗教自体は身内が過去にとある宗教を信仰していたので興味だけはあり大学でも簡単な講義はとったが、改めて本を読んで宗教の外から語られる宗教とは何かというのがとても面白かった。2022/01/13
あかつや
5
宗教学とは何かということについて、語りかけるような丁寧な言葉で書かれた本。あとがきでラジオ放送をまとめたものだとあって納得。「入門」という言葉にふさわしく、全く予備知識のない状態で読みはじめても淀みなくすんなりと理解へと導いてくれる。なんとなくわかった気でいた宗教をはっきり分類することができた。確かに学生の宗教学のテキストとして丁度いい。古本屋で入手した私の本にも、最初の数ページだけ蛍光ペンによるラインが引かれていて、きっと前の持ち主の学生は極短い時間でその授業の処し方を見切ったのだろう。聡明な子だなあ。2019/02/28