内容説明
『老子』は、『論語』とならぶ中国の代表的な古典である。その思想は、人間はその背後に広がる自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬくことにある。したがって老子は、人間の知識と欲望が作りあげた文化や文明にたいして懐疑をいだき、鋭く批判する。無知無欲であれ、無為であれ、そして自然に帰って本来の自己を発見せよ、という。中国思想研究の第一人者が説く老子の精髄。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ビイーン
42
本書は解説が丁寧で分かり易い。日常生活で疲れている時、「老子」は生きる希望を与えてくれる。読めば誰もが西洋の資本主義的な価値観を追い求める人生とは違う生き方を「老子」から見出すだろう。日本酒の銘柄で知った「上善は水のごとし」は老子の言葉だったか。老子思想が説く世間一般の常識に反する「あまのじゃくさ」に惹かれた。2021/02/27
金吾
36
昔読んだときに全然共感しなかったですが、今回はわりと心に入ってきました。同じ内容であっても読む方の状態や識能、訳により感じ方が変わるのだなあと思いました。2023/04/07
黒頭巾ちゃん
32
80ちょとの言葉が我々を「思索の森へ」誘ってくれます。迷っているようで、何か見えそう。その森にはマイナスイオンだらけなので、癒されるのです。“失意の哲学”と言われる理由が分かります。疲れた時に読むといいでしょう。一般的な成功哲学とは逆のことを推奨しています。“無為”“道”“水”などで表現しています。「大器晩成」は老子からの言葉です。厳密な意味は本書で確認ください(^_-)-☆ちなみに老子は「死刑反対」のようです。理由は...。古典から癒されたい人やうまく自己表現できない人は読んでみてくださいね(^_^)2013/10/25
サケ太
28
非常に興味深かった。名前だけは知っていた“老子”という人物とその思想。賢しらな考えが人を縛る。我を出すという行為が自分の首を絞めていく。「無知無欲」、「無為自然」。自然のままに生きるということ。理想的な“道”を得るということ。全部理解できたか、と言われると難しいが上辺だけはなんとなくわかった気がする。脚注や解説もわかりやすくてよかった。2019/05/15
マウリツィウス
28
【《罪過》】《『アンノウン』、「知られない者に知られない」》。《繙く、読み解く》。《「停滞と空間」》、《『現代と古典』》、《少しだけ、見えてきた『答』がある》。《「無知と知」の関係、先に識るべきだった》。《「これ以上に答を求めない為に答を求める、これを経る」》。《只、「無知を自覚する為」に研鑽を要してきた、「周知の疑問」》。《「『忘却』と共に、『原点』に戻る」》。《この「始めと終り」》、《「初めと終り」》。《「終焉は無い」、「即ち、『道』を極めることが過程を『創造』する」》。《『過程と方法』は矛盾せず》。2015/03/20