内容説明
現代の思想は言語の問題、とくに意味論を核心として展開している。著者は、現代思想の大きな潮流であるバルトやデリダの言語論の検討から出発し、言語が本来もっている遊動的な弾性に富んだ「レトリック性」を豊かな例証によって考察する。ことばの意味を固定した一義的なものと捉える従来の理論を斥け、現代言語学に「意味の弾性」という画期的視点を拓いた佐藤レトリック学の到達点を示す名著。
目次
1 意味の『区別性』への不安
2 意味の『流動性』への不安
3 『原始語』への信頼のしかた
4 言語記号の『随意性』
5 ふたつの『ロゴスの構図』
6 表現と意味の『ずれ』
7 意味の『自己同一性』
8 『同一の意味』から『自己比喩』へ
9 意味の『弾性』―自己比喩
10 意味の『遊動性』―意味の奪い合い