出版社内容情報
【内容紹介】
大戦景気の反動、金融恐慌などが続いた昭和初期、浜口内閣の大蔵大臣・井上準之助は、為替変動の安定化をめざし金輸出の解禁を断行。念願の金本位制復帰を図ったが、そのための緊縮財政は折からの世界恐慌の波をうけ、未曾有の大不況を到来させた。この昭和恐慌を引き起こした経済政策をめぐる政党間の抗争、財界の思惑、投機的行動など、秘められた歴史を明らかにした昭和経済史の泰斗による力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
esop
71
なんとなく手に取った。 だけど、面白い! 昭和は戦争に焦点が当てられがちだけれど、本書は昭和経済の側面を垣間見ることができる。 世界恐慌が起きて、金本位制、金輸出の是非を当時の頭のいい人たちが、日本・世界の情勢を見ながら論争しまくる。 井上準之助、新年を貫いた、結果的に正しかったのかどうかは置いておいて、政治手腕と経済の嗅覚はさすが。 現在の政治に当てはめられることもある。この大局を乗り越えるために、選挙に行って一人一人が考えを持つことが大事。選挙に行こう。 2025/09/01
かんがく
13
かなり古い本だが、とても魅力的な研究。井上準之助の金解禁政策を中心に、昭和初期の経済政策を詳述。経済は政治の影響下から逃れられないという考えのもと、井上本人の政治生命を維持するために再禁止に踏み切れなかったという指摘。高橋や石橋など反対派の意見も細かく研究されているが、経済政策の難しさがよくわかった。2019/11/01
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
2
城山三郎『男子の本懐』の学術書版。基本的な用語理解はもちろん、日本の経済史を当時の社会構造を含めて理解すること。2019/08/30
okadaisuk8
1
コンパクトに、分かりやすく昭和恐慌というか金解禁に踏み込み、それが失敗した過程を経済・政治・社会の複合的な視点から描く。おまけで付いている平成不況の分析が鋭い。2022/11/28
ぼび
1
6/52018/09/26