出版社内容情報
【内容紹介】
大戦景気の反動、金融恐慌などが続いた昭和初期、浜口内閣の大蔵大臣・井上準之助は、為替変動の安定化をめざし金輸出の解禁を断行。念願の金本位制復帰を図ったが、そのための緊縮財政は折からの世界恐慌の波をうけ、未曾有の大不況を到来させた。この昭和恐慌を引き起こした経済政策をめぐる政党間の抗争、財界の思惑、投機的行動など、秘められた歴史を明らかにした昭和経済史の泰斗による力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
13
かなり古い本だが、とても魅力的な研究。井上準之助の金解禁政策を中心に、昭和初期の経済政策を詳述。経済は政治の影響下から逃れられないという考えのもと、井上本人の政治生命を維持するために再禁止に踏み切れなかったという指摘。高橋や石橋など反対派の意見も細かく研究されているが、経済政策の難しさがよくわかった。2019/11/01
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
2
城山三郎『男子の本懐』の学術書版。基本的な用語理解はもちろん、日本の経済史を当時の社会構造を含めて理解すること。2019/08/30
okadaisuk8
1
コンパクトに、分かりやすく昭和恐慌というか金解禁に踏み込み、それが失敗した過程を経済・政治・社会の複合的な視点から描く。おまけで付いている平成不況の分析が鋭い。2022/11/28
ぼび
1
6/52018/09/26
千日紅
1
1967年初出。本書のねらいは1929年(昭和4)から1931年(昭和6)年までの財政金融政策のダイナミックスを多角的に描くことにある。当時実施された金解禁は、歴史的な出来事であるものの、なかなか理解することが難しい。筆者は経済学の理論を分かった上で描いているので、その著述に迷いはない。本書を読んで、この時代の政治経済過程が頭の中で整理できたのが良かった。2017/10/27