内容説明
シャーマニズムとは何か。本書は、あの世や神仏、精霊などと直接交流・交信の能力をもつと信じられる人物、即ちシャーマンの宗教的社会的役割を具体的に説く。特にシャーマニズムの現象を、啓蒙されていない民衆の土俗的な習俗として捉えるのではなく、むしろ仏教やキリスト教などの世界宗教の中核をも貫く、人間の基本的な宗教現象の1つとして捉える。佐々木シャーマニズム論の原点をなす労作。
目次
第1部 憑霊(人間苦と憑霊のあいだ;日本における土着宗教と憑霊;社会変動と憑霊)
第2部 シャーマン(霊的存在とシャーマン;祭司・シャーマン・王;シャーマンと夢;原郷回帰のシンボリズム)
第3部 憑霊とシャーマニズム(脱魂と憑依;シャーマニズムとは何か;シャーマニック・イニシエーション〈成巫〉の諸類型;シャーマンの宗教‐社会的役割)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
juunty
2
シャーマニズムを比較的学問的な立場から書いた一冊。日本、中国などのシャーマニズムに幅広く触れてあって、シャーマニズムを理解するための基礎になる。ただ冒頭から専門的な用語が使われており、それに対する解説や説明がなかったので、周辺の文章から用語を推察して読む必要があった点はマイナス評価。2024/03/18
ozawa
1
シャーマン、シャーマニズムの入門用の一冊として最適では。その用語の定義から、憑霊 / 脱魂、 シャーマン / 祭司などの分類、ユタや巫女の例のみならず、アフリカ、インド、シベリアなどの豊富な事例も取り上げられている。2021/08/26
随時
0
「 われわれは、日本のシャーマニズムを全近代的な宗教の残滓と見ることにも、また、あらゆる呪術-宗教的現象にシャーマニスティックな要素を見いだそうとすることにも禁欲的にならなければならないと思う。」2011/11/12
めがけん。
0
民俗学レポートのネタに。斜め読みながら楽しくて結局全部読んでしまった。しかしシャマンってのは怪我とか肉体的な病は治せたのかねぇ。医療知識も持ち合わせてたってことかしら。2011/01/30
Amethysteria
0
いくつかの話題を見て再読。宗教は「生きづらさを抱える人」を社会に包含して乗り越えていく一環でもあったのだろう。資本主義/市場主義において原理上軽視されるマイノリティを救うには、ある種の宗教者が必要であるし、彼らの信念は信仰と言える。そもそも宗教であるとか信仰といったものが語ることさえ忌避される中において、自覚的にその手法を学び、用いていける組織/社会は強いのでは、など。
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