出版社内容情報
先端医療では治せない人生を再建します!
『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞。医療ミステリーの第一人者仙川環が贈る新境地。
月刊『本の窓』連載中から「我が家の事のよう」と話題を呼んだ作品待望の単行本化。
東京郊外にある古びた洋館。そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者の医師青島倫太郎。目が悪くなったのに車の運転をやめない父。怪しげなサプリにはまる母。仕事のストレスで血圧が上がった息子。民間治療に心酔した妻……。そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、青島と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう……。現代の赤ひげ先生が、鮮やかに患者と家族のトラブルを解決するハートウォーミングお医者さん小説。
内容説明
緑内障、高血圧、関節症、肥満、アトピー…。患者と家族の一大事は、ごくありふれた病気から始まった!規格外の名医青島倫太郎。メスを入れるのは、病気でこじれた人間関係!次の患者はあなたです!!
著者等紹介
仙川環[センカワタマキ]
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第一回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
223
病気や病気以外の問題を、一風変わった総合内科の先生と語り合ううちに解決していくという短編集。人の数ほど悩みあり。サスペンス調の話もあるが、基本はちょっと良い人情もの。かつて医療ミステリやサスペンスを書いていた仙川環さん。いろいろ読んだが、本書の路線は彼女に似合うと思う。是非、シリーズにしてほしいな。仙川さんは長編より短編が優れているし、サスペンスより人情者が良い。absintheが好きなのはこれと、あのサカマキングが出てくる新聞記者の短編集。2021/08/21
いつでも母さん
193
ハーフパンツの倫太郎ドクター!こんなドクターと明るく元気なナースがいる『総合内科』は嬉しい。青島総合病院内にあっても不思議はない気がするが…まぁ個性的過ぎて反感は買うだろうと想像に難くないが、患者さんにとってはありがたいよね。連作6話。正直言ってどうにもちょっと物足りないと感じてしまった。ハーフパンツの意味は肩書や既存の枠や柵からの解放なのだろう。患者は色々、ドクターや病院も色々だが、僻地に住む私にとっては簡単に病院やドクターを選べない現実がある。かかりつけのクリニックのある有難さよ。2021/02/18
シナモン
159
運転免許を返納したがらない老人、怪しいサプリメントにはまる和菓子屋の女将、パワハラで体調を崩す若者…。どれもいかにも身近にありそうで感情移入してしまった。描写もうまい。倫太郎先生はそんな頑なで思い込みが強い患者さんを上から説得するんじゃなく、しっかりとした医療知識を背景に自分から気づかせる。なんというか器が大きくてとっても素敵な先生。白衣の下にはいつもハーフパンツってのも気取らなくていいな。「命より大事なものはないでしょ」の言葉が沁みた。読みやすく面白い一冊でした。2021/08/08
モルク
137
病院の一角、雑木林の奥の砂利道を進んだ先にある古い家、そこに総合内科はある。大病院の理事長の兄でハーフパンツ姿の医師青島倫太郎と看護師ミカのふたりだけでやっている。医療相談専門で患者の悩みに向き合う。6話の連作短編集。高齢者と免許返納、高額サプリ、遺伝子検査…と今の問題にも直面するが、看護師のセクハラ問題も挿入していて、サクサク読める。患者の話を嫌な顔をせずじっくり聞いてくれる医者…いいなあ、問題は採算がとれるかだけど。続編が出るといいな。2021/10/28
美紀ちゃん
130
今の病院は患者の雑多な悩みをじっくり聞く場がない。ドクターによる医療診断は時間がかかるし保険がきかない。だから医療相談専門の総合内科が必要。ハラスメントは戦うか逃げる2択。体の具合が悪いのは、心の悲鳴の表れ。健康よりも大切なものはない。綾瀬君はかっこよかった!戦う方を選んだから「血圧陰謀論」。そして最後の章もかっこよかった。「奇跡のメソッド」 ステロイド剤を悪魔の薬と言い、自然療法を推奨している変な詐欺まがいの団体に対しての倫太郎先生の切れ味がお見事で清々しい読後感だった。医者と話をするのは大切だなぁ。2021/09/04
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