内容説明
『神の痛みの神学』において、聖書に正面から光を当て、聖書的真理を明らかにすることを試みた著者は、本書では文学を通して「神」を見つめた。聖書的真理「痛みにおける神」は、文学的に表現されるとき、「愁いなき神」即ち「痛みなき神」というシルエットの形をとって浮かび上ってくるのである。トルストイから遠藤周作まで、東西の文学と聖書とを関連させながら、「神の愁い」を追究した注目の書。
目次
愁いなき神―トルストイ
「徹底」の構造―ドストエフスキイ
狭き門からはいれ―ジイド
「則天去私」と宗教―夏目漱石
背教の文学―有島武郎
「赦し」について―志賀直哉
キリスト教と日本人―正宗白鳥
「執着」と「愛」―伊藤整
神学への証言―石川淳
神を訴訟する―椎名麟三
足の痛みの文学―遠藤周作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
北森神学から見る、ドストエフスキーにおける善悪の彼岸、向こう側へ踏み越える思想。「19世紀の人間は、ほとんどナポレオンの像から解放されない…例えばヘーゲル、その前のフィヒテ…ドストエフスキーも同様」「ナポレオンとニイチェは19世紀の人間が、どうしてもまぬかれることの出来なかった巨大な影です。恐らくドストエフスキーもニイチェの影響を多分に受けている…ニイチェの思想には二つの注目すべきアイディアがある…一つは「超人」という考え、もう一つは「善悪の彼岸」…ここから『罪と罰』とそっくりのモティーフになります。」2022/12/17
AC後屋
1
古今東西の文学者の作品を、キリスト教の立場から語ることで聖書のメッセージを浮き彫りにする。トルストイとドストエフスキーでの神像の違い、夏目漱石に見る日本人の宗教意識、遠藤周作の「沈黙」で描かれる「痛み」と、北森師の「痛み」との相違点など、独特の視点から語られるテーマがどれも興味深い。これが絶版になっているのは惜しい。2011/08/12
-
- 電子書籍
- 斎藤一人発酵力 - 微生物に学んだ人生…
-
- 和書
- 亡命ロシア料理